日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『生贄投票』
『生贄投票』第1巻
葛西竜哉(案) 江戸川エドガワ(画) 講談社 ¥602+税
(2016年5月20日発売)
ある日、スマホに表示された「生贄投票」というアプリ。
そこにはクラス全員の名前が並べられていて、生贄に選ばれた者には「社会的死」が与えられるという。それを回避する唯一の方法は、クラス全員が制限時間以内に嘆願ボタンを1万回タップすること。
クラスの女王だった入山環奈のまさかの生贄決定→H動画流出の末の事故死を皮切りに、次々と繰り広げられる投票にクラス中が否応なく巻き込まれてゆく様は、まさにスマホ版『バトルロワイアル』といった感じ。
アイデア自体に目新しさはないが、コミュニケーションの主流がネットやSNSとなった昨今では、妙にリアルなテーマでもあり。○○は××に投票したとか、○○は嘆願タップをまったくしていない……といった疑心暗鬼によって、人間関係が混乱・崩壊してゆく様は、アプリ関係なく、現実にありそう……とゾッとせずにいられない。
ひたすらドロドロと人間の醜悪さを見せつけてゆくストーリーは不快極まりないはずなのに、怖いもの見たさでついつい読まされてしまう。
新ルールの導入、犯人探しの謎解きなど、気になる要素も多々あるだけに、最後まで見届けずにいられない!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69