日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『新久千映の一人さまよい酒』
『新久千映の一人さまよい酒』
新久千映 集英社 ¥602+税
(2016年5月19日発売)
ご存じ『ワカコ酒』の著者による酒場指南コミックエッセイ。 著者が現在住む、広島界隈の実在の店を舞台にひとりで酒場を楽しむためのノウハウが披露されている。
「よい店を外観だけで判断する方法」「ちまちまとお得に飲めるおひとりさまのメニュー選び」「頑固おやじ・毒舌おかみの店で過ごす方法」から「バーでの大人な振る舞い方」「好みの日本酒・ワインを見つけるテクニック」まで、酒場好き(でもチキン)のココロをくすぐる豆知識が、『ワカコ酒』同様、あくまで肩の力が抜けた軽妙なタッチで綴られているのが高感度大。
「ひとり酒」というと、男でも女でもついつい「粋でありたい」と背伸びしてしまいがちだが、新久さんでもこんなふうに迷ったり、動揺したりするのだなあ…と思うと、妙な勇気がわいてくる。
そもそも、ひとり酒の醍醐味とは、こんなふうに相手の懐に飛びこんで、手探りで少しずつ店の空気に溶けこんでゆくことでもあるわけで……。もっと肩の力を抜いて楽しめばいいんだ、と背中を押してくれる1冊だ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69