日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『いっツー』
『いっツー』第7巻
岡田和人 秋田書店 ¥562+税
(2016年5月20日発売)
高校見学に行ったその日に、サガミはユイ先輩にひと目ぼれ。
晴れて同じ高校に入学し、映画サークル「自動幻画俱楽部」の仲間となって告白するも「年下には興味ない」と早々に失恋するが……。
アウトラインだけたどれば、まっとうな「学園青春コメディ」。
しかし、青年マンガのそれではエッチ要素はお約束とはいえ、本作のあまりにフェティッシュな“イタズラ”は、岡田和人にしか描けない光景だ。
スレンダーだがボディラインが執拗なまでにくっきりと描かれる女子の描写に、やみつきになる読者も多いはず。
最終巻では、夏休みを利用しての映画撮影の場面が中心に。
ユイの片思いの相手である部長(高3なのに留年3回目)、入魂のゾンビ映画の制作は泊まりがけで、当然いろんな事件が勃発。
サガミをさんざん(性的な意味で)オモチャにしてきたチアキの行動もさらに暴走気味で……そこにはどんな理由があるのか!?
「こんなワルいことしちゃっていいの?」「この先どこまでいっちゃうの?」とドキドキする危険で官能的なシーンがいっぱい、だけどふと根っこにある高校生らしい純粋さに触れてグッとくる。
不思議な魅力の青春物語だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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