『食戟のソーマ』第8巻
附田祐斗(作),佐伯 俊(画),森崎友紀(協) 集英社 \400+税
(2014年7月4日発売)
料理バトルマンガにおいてレシピとリアクション芸は、ご飯とおかずの関係。紙のなかにある美味を目で味わわせるのは、カラダで表現するキャラクターのお仕事だ。
じゅわっとあふれる旨み、香りの爆発が直撃して喜びに打ち震える五感……美少女がエロティシズムを炸裂させる美食=官能は、もはや変化球というよりスタンダード。
佐伯俊の画力をもってすれば、そっちでトップに立つのはイージーモードのはず。
でも、あえてオッサン! 予選のカレー料理対決での審査員はヒゲの中年ばかりで、選抜本戦一回戦での弁当対決では総帥のムキムキおはだけ。
茨の道をわざわざ選んでる気もするが、ゆっくり進むラブストーリーの隠し味がボヤけなくていい。
お色気封印は生殺しだー! というモヤモヤも、本巻収録の番外編「夏休みのエリナ」でお釣りが来ます。
市民プールでスライダー下からのローアングル、じりじり照りつける真夏日ににじむ汗や、ビニールプールでのヒロイン三人三様の各種サイズをそろえた、フルコースやで!
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。