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6月10日は火星探査機「スピリット」打ちあげの日 『スター・レッド』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/06/10


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

6月10日は火星探査機「スピリット」打ちあげの日。本日読むべきマンガは……。


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『小学館文庫 スター・レッド』
萩尾望都 小学館 ¥800+税


本日6月10日は、2003年にマーズ・エクスプロレーション・ローバー(無人火星探査車)「スピリット(Spirit)」が打ちあげられた日。
2004年1月に火星へと到着したこの探査車は以後、6年以上にわたって、火星での活動を行った(なおスピリットから1カ月後に打ちあげられた兄弟機の「オポチュニティ」は12年後の今も活動中!)。

地球からもっとも近い惑星ということでH・G・ウェルズ『宇宙戦争』をはじめ、数多くのSF的想像力の源となってきた火星。今日は、そんな火星を舞台にした作品として、『ポーの一族』の40年ぶりの新作が発表されて話題の少女マンガの巨匠・萩尾望都による『スター・レッド』を紹介したい。

人類が他星系にまで植民を始めた未来。流刑地となった火星で生きる人々は世代を経るうちに超能力を手にし、地球人と争うようになっていた。
地球で女だてらに暴走族を率いるヒロイン、レッド・星(セイ)の正体は、地球育ちの火星人。火星人の証である赤い瞳と白い髪を隠して地球で生きてきたが、謎の青年・エルグとの出会いによって火星へと旅立つことになる……。

だが、みずからのふるさとを目指す少女は、地球人はもちろんのこと、同族であるはずの火星人からも、そして宇宙を支配する巨大勢力からも、災いをもたらす者として排除される運命にあった。
はたして彼女の魂が安らげる場所はあるのか……彼女の孤独をいやせる者は存在するのか……。

火星と地球の物語が銀河レベルにまで発展していく壮大なSF叙事詩であり、深い孤独のなか、「だれか」を求めつづける切実な物語でもある。
火星に思いをはせつつ読んでいただきたい。



<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas

単行本情報

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