365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月14日は映倫が設立された日。本日読むべきマンガは……。
『集英社文庫 THE ABNORMAL SUPER HERO HENTAI KAMEN 究極!!変態仮面』第1巻
あんど慶周 集英社 ¥650+税
67年前(1949年)の今日、GHQ指導のもとで「映画倫理規程管理委員会」が発足した。
この旧映倫をベースにして、1956年に設立されたのが、映画倫理管理委員会(現在の正式名称は映画倫理委員会)=映倫である。
2009年からは現在のレイティングシステムが採用され、年齢にかかわらずだれでも観覧できる「G」のほか、12歳未満の年少者の観覧には、親または保護者の助言・指導が必要な「PG12」、15歳未満観覧禁止の「R15+」、18歳未満観覧禁止の「R18+」に分けられている。
2013年、このレイティングシステムに挑んだひとつの作品があった。
『HK/変態仮面』である。
(使用済みの)パンティをかぶった正義のヒーロー“変態仮面”にマッチョな鈴木亮一が扮して話題となった本作は、セリフに「チ」と「ン」と「コ」の3文字が多すぎるという理由で「PG12」の指定を受けてしまった。
90年代前半に「週刊少年ジャンプ」に連載された、れっきとした少年マンガの実写映画化にもかかわらず、だ。
福田雄一監督は対応策をとり、「チ●コ」の数を減らして「ティンコ」を織り交ぜてみたものの、映倫からの回答は変わらず。
そのまま「PG12」で公開されることとなったが、ふたを開けてみると予想以上のスマッシュヒットを記録。劇場には親同伴で鑑賞する小学生の姿も多く見られたという。
てなわけで「きょうのマンガ」は、もちろん『HK/変態仮面』の原作、あんど慶周の『究極!!変態仮面』をピックアップ。
1992年から1993年にかけての1年間、黄金期のジャンプで連載されたエロコメ・アクションだ。
パンティをかぶった変態高校生・色丞狂介(しきじょう・きょうすけ)を主役にすえるというアナーキーな作品ではあるが、その中身はアメコミライクなヒーローものであり、ちりばめられたエッチなギャグも快テンポ。
あらためて読み直してみても、その古びないギャグセンスに脱帽である。
少年誌の掲載作品としてはあまりにも攻めた設定ゆえ、PTA等から猛抗議&猛批判を受け、残念ながら打ち切りとなってしまったが、映画化にともない新しいファンを獲得、伝説のエロコメとして再評価されているのはうれしい限りである。
この5月には『HK』シリーズ、3年ぶりの続編となる『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』が公開された。
今作は「チ●コ」というセリフはいっさいナシ! すべて「ティンコ」にしたところ、晴れて「PG12」が解除され、誰でも鑑賞できる「G」の称号をゲット。ティンコ以外のところ(おいなりさん系)でいくつか危険な描写があったが、なんとかクリアしたそうだ。
ちなみに『HK』シリーズは、ハリウッドのクモ男よろしく3部作の予定。
まだまだ変態仮面と映倫のせめぎあいは続いていくことになりそうだ。
がんばれ変態仮面!
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。今秋公開予定の内村光良監督『金メダル男』の劇場用プログラムに参加しております。