人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、堀越耕平先生!
今春からスタートしたアニメも絶好調、少年マンガ界で今もっとも“旬”な作品と言っても過言ではない、『僕のヒーローアカデミア』!
その作者である堀越耕平先生に、連載までの道のりや、文字どおり「個性」豊かなキャラクターたちの誕生秘話などについて詳しく語っていただいた前回のインタビュー記事は、アップすると同時に大反響をいただきました!
<インタビュー第1弾>
堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』インタビュー 新世代の王道少年マンガはアメコミヒーロー×学園もの! 人気炸裂(SMASH!!)の連載へと短編を進化させた方法とは!?
今回は、『僕のヒーローアカデミア』を語るうえで避けては通れないアメリカン・コミックの話題や、影響を受けた映画・マンガなど、堀越先生個人のパーソナルな面にディープに迫り、さらに『僕のヒーローアカデミア』の世界観が深まるインタビューをお届けします。
そして、今後の展開における注目のポイントも……!?
あのアメコミヒーローやSF映画から受けた影響は意外なところに!?
――オールマイトというキャラクターの誕生をきっかけに、読み切り作品「僕のヒーロー」にはなかったアメコミ的要素を散りばめる発想が生まれたとのことでしたが(前回記事参照)、そもそも堀越先生のアメコミ好きは、2002年公開の映画『スパイダーマン』[注1]から始まったとお聞きしています。当時、『スパイダーマン』は“日本の特撮ヒーロー番組”の延長線上にある作品としてご覧になられたんでしょうか?
堀越 まったく別物として観ていました。日本の特撮ヒーローには「変身」という概念がありますが、スパイダーマンはピーター・パーカーがピーター・パーカーのまま、スパイダーマンのコスチュームを着ているので、変身する日本のヒーローとは違うものだと思っていました。 ――数あるアメコミのなかでも、特にお気に入りのキャラクターやタイトルというと? 作品を拝見してる限りだと、なんとなくヴェノムがお好きなのかな……という感じもするのですが(笑)。 堀越 やはりスパイダーマンですね。なかでもスーペリア・スパイダーマン[注2]が好きです。ヴェノムももちろん好きですよ(笑)。好きなアーティストは、ライアン・ステッグマン[注3]さん、グレッグ・カプロ[注4]さんです。 ――スパイダーマンの話が出たのでお聞きしますが、雄英の校訓「Plus Ultra!!」(さらに向こうへ!!)は、やはりスタン・リー[注5]氏が使用する「Excelsior!」(向上せよ!)を意識して? 偶然なのかもしれませんが、「ウルトラ」という単語が入ったことで、日本のヒーロー=ウルトラマンもイメージさせる言葉になっていますね。 堀越 ご質問のとおり、「ウルトラ」は(ヒーローを扱う作品として)なじみのいい言葉だと思い、校訓に使わせてもらいました。校訓をつくった経緯そのものはスタン・リーさんの言葉とは関係ないのですが、ニュアンスは「Excelsior!」っぽくしたいなとは考えていましたね。 ――いま、アメコミ映画ブームですが、逆にいっぱいありすぎて、初心者には手を出しづらい状況とも言えます。そんな読者の皆さんに、堀越先生からオススメできるタイトルは? 堀越 映画は『アイアンマン』[注6]か『スーパー!』[注7]。コミックなら『アストロシティ』[注8]です。 ――ちなみに、日本の変身ヒーロー番組や怪獣映画も好んで観られたりするのでしょうか? 仕事場のスタジオには、アメコミや洋画のキャラクターに混じって、デストロイアやレギオンのフィギュアが飾られてますよね。 堀越 やっぱり平成ガメラと平成ゴジラ[注9]が好きです。子どもの頃から映画が公開されるたび、映画館に連れていってもらってました。 ――洋の東西を問わず、多くのエンターテイメントから吸収されていることが作品からも伝わってきます。前作『戦星のバルジ』も、SF映画ファンのひとりとして楽しく読ませていたのですが、『僕のヒーローアカデミア』でも、地名が「スター・ウォーズ」シリーズに登場する惑星名のもじり[注10]となっていますよね。 堀越 SWからはすごい影響を受けています。地名もじりは、自分が楽しめるように、気楽にいられるように、という自己満足ですね(笑)。 ――個人的には、室内に異形キャラがあふれ返っている場面などから“モス・アイズリーのカンティーナ魂”みたいなものが感じられて最高だと思ってるんですが(笑)、ほかにもSWシリーズから強い影響を受けた部分はありますか? 堀越 人間関係や師弟関係を描く上での影響も強いと思います。それとSWは、映像ではチラッとしか映らないキャラクターにも、ものすごい魅力がありますよね。自分も、マンガでそういうことがやれるようになりたいです。