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『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』第11巻 福本伸行 【日刊マンガガイド】

2016/06/29


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』


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『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』第11巻
福本伸行 講談社 ¥571+税
(2016年6月6日発売)


2枚の手札のなかから1枚を選んで出す。本巻では、勝敗を決するのは数の大小のみ(A=エースが一番強いが、Aは2に負ける)――というギャンブル「ワン・ポーカー」で帝愛グループの御曹司・兵頭和也と戦うカイジ。

この「ワン・ポーカー」で賭けられるのは「ライフ」と呼ばれる人形。その1体は、なんと2億円だ。
カイジのライフは2つ、和也のライフが10個で始まった、総額24億円をめぐる博打で、カイジは一時ライフ0まで追いこまれるが、第11巻の時点ではカイジ=7ライフ、和也=5ライフと逆転している。

破竹の連勝を続けるカイジ。一方の和也は、カードのめぐり合わせが悪く、ゲームを降り続けている。
そうして迎えた第23回戦。
カイジの手札は「3」と「9」という微妙なもの。一方、和也の手札も「UP」(8~A)と「DOWN」(2~7)が1枚ずつ。

カイジは考える……。
「3」で勝負に出ても、負けがこんでいる和也は降りるのではないか……。
「3」で和也のUPカードを殺せれば、次の勝負も楽になる……。

いや、その弱った態度は擬態で、「3」を出すとUPカードを出した和也にレイズ(賭け金アップ)をされ、一挙にライフを搾りとられるのではないか……。
ここは確実に「9」で勝ちにいくべきでは……。

こうした懊悩が『カイジ』シリーズの読ませどころなのだが、長考の末にカイジがどちらを選んだかが気になった方は、ぜひ第11巻を読んでほしい。

おそらくは「ワン・ポーカー」編の分岐点となるだろう第23回戦――その結果が明らかになる次巻が待ちどおしいところである。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。、「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。「2016本格ミステリ・ベスト10」(原書房)でミステリコミックの年間レビューを担当。

単行本情報

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