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『きっと愛してしまうんだ。』 第1巻 一井かずみ 【日刊マンガガイド】

2016/07/02


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『きっと愛してしまうんだ。』


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『きっと愛してしまうんだ。』 第1巻
一井かずみ 小学館 ¥429+税
(2016年6月10日発売)


「仕事のできる美人冷血女」と「人間力の高いイケメン」。
その2人がじつは同居していると会社の噂好きに知られたら、同棲だスキャンダルだと大騒ぎになること間違いなし。
でも真実はまったく違う。
いいところもあればダメなところもたくさんある同僚の2人が、ほっこりと共同生活を営みつつ、それぞれに想いをはぐくんでいる――そんなあたたかな関係を描いたのが本書だ。

藤田歩(あゆむ)、美人で近寄りがたい、超優秀な営業OL。
仕事ができるゆえに上司にふられ、失恋中でじつは心がいたく傷ついている真っ最中。
そんな彼女を気づかったのは、同期の谷地俊介。
人当たりのいい人気者の谷地。彼のやさしい言葉に、歩はついついやつあたりをしてしまう。
谷地はそれでも歩をいたわってくれ、彼女はようやく、元彼との思い出が詰まったマンションを出ることにふんぎりがつく。
だが実家に戻れず、祖父の家に転がりこむことになる歩。
そこにはなぜか谷地の姿があって……?
そしてひょんなことから、歩と谷地の同居が始まるのだった――。

ソデの部分にある作者メッセージには、この作品は「『徒歩』といった遅さです」とある。
実際そのとおりで、ちょうど歩くくらいの心地よいゆっくりさで、物語が進んでいく。
2人の心が寄り添っていくのを見る読者も、もどかしさではなく、一歩一歩着実に近づいていくその過程を、散歩しながら景色を見るように楽しむ感じだ。
やさしい絵柄で雰囲気もあたたかく、描かれた小さなエピソードのひとつひとつがきっちりと仕事をしていて、安心して物語を味わうことができる。
何度か読み返したが、そのたびに小さくほほえんでしまう。そんな1冊だ。
今後の2人の行方を楽しみに、続刊を待ちたい。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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