365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
7月3日は七味の日。本日読むべきマンガは……。
『小学館文庫 虹色とうがらし』第1巻
あだち充 小学館 ¥581+税
7月3日は七味の日! 7と3でシ・チ・ミ! わお語呂合わせ☆
さぁ、七味の日。今日読むマンガはあだち充の『虹色とうがらし』をおいてほかにはないでしょう。
『タッチ』、『H2』、『ラフ』、『みゆき』……。傑作ぞろいのあだち充作品のなかで唯一の時代劇という変わり種。
しかし、素直になれないヒロインのかわいらしさや(空き缶蹴とばして「チェ」って言っちゃう系)、絶妙なテンポで進むギャグシーンなどなど、あだち節は健在なり。
「時代考証に口出し無用」という力強い宣言(?)とともに物語の幕が開くあたり、茶目っ気たっぷりで期待も高まる。
なんたって、舞台は「地球によく似た星の、江戸によく似た町」。からくり長屋で暮らす7人の異母兄弟もイイカンジ。
7人兄弟とはつまり……、長男で落語家の胡麻、次男で剣の達人の麻次郎、三男で大飯喰らい、大酒飲みの芥子の坊、四男で火消しの七味、五男で発明の天才の陳皮、六男で忍術の得意な山椒、そして紅一点、長女の菜種。みんな七味に関係ある名前。
だからタイトルが『虹色とうがらし』なんだなぁ。
7人はからくり長屋から、それぞれの母親の墓参りの旅に出る。そしてその道中で、兄弟の秘密を知る。そのなかで往年の名作ドラマ『ひとつ屋根の下』ばりのホームドラマ的展開が繰り広げられていくわけですよ。
クライマックスが近づくと
「それでも優しくしてくれる?」
という、あの名言も飛び出す。
そして、登場人物たちは痛みを抱えながら生きていく。
「そこに愛はあるのかい?」と問われれば、自信たっぷりに「あるね!」と答えられるぜ、あんちゃん!
兄弟愛もあるし、恋愛もあるし、江戸(によく似た町)なのにミサイルとか平気でで出てくるし……。
とにかく楽しい『虹色とうがらし』、ぜひ七味の日にご堪能あれ。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。