日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『おかか』
『おかか』第2巻
まつだこうた 講談社 ¥565+税
(2016年6月6日発売)
商店街に住む小学3年生の少女・おかか。マー坊、山ちゃんら男子の友人たちと一緒になって騒ぐ、小学生ライフが描かれる。
おかかたちの行動は幼稚だ。
昆虫を育ててデュエルしたり、ラジオ体操が嫌で決起したり、夕方5時のアニメを見るために戦ったり、知らない外国人に話しかけたり、マー坊たちが寝ている時におかかが屁をこいて顔にかけたり。飼っていたカブトムシの名前は「爽快脱糞丸」。
基本、あと先考えない。とはいえたわいもないことであるのもたしか。
おかかたちが全力で遊ぶのは、小学生特有の万能感にあふれているからだ。
自分たちはずっと親友で、いつまでも遊び続けられる、なんだってできる。
しかし3年生ともなると、「わからない」「できない」ことが増えてきて、無敵さにかげりが見えてくる。
おかかたちが捨てられたエロ本を拾う回がある。
彼女たちは男女の区別がまったくない状態で過ごしているから、これはカルチャーショックだった。
「それっておかかと抱き合うってことだろ!?」
まだ性の目覚めが来ていない3人は青ざめる。
おかかが万引きをする5年生に、正義感で立ち向かう回。
「皆殺しだかんな」という上級生の(適当な)煽りにおびえる彼女、しかし勝てると信じて、バットを握ってかかっていった。
結果はボロ負け。自分の考えた必殺技は使えず、殴る蹴るされてなんの反撃もできなかった。
「できる」と「できない」の境界線をふらふらする彼女には、ねこみみが生えている。おかかの家族だけの特徴だ。
これがなんなのかは作中でいっさい明らかにされていない。
ただ、猫のようにさまよう彼女は、世界の何もかもを新鮮に感じ、驚き、楽しんでいるのだけは間違いない。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」