365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
7月9日はエカテリーナ2世がロシア皇帝に即位した日。本日読むべきマンガは……。
『女帝エカテリーナ』第1巻
アンリ・トロワイヤ(作) 池田理代子(画) 講談社 ¥620+税
1762年7月9日、エカテリーナ(エカチェリーナ)2世がロシア皇帝に即位した。
じつは彼女は、ロシアに生まれたわけではない。
ではなぜ、彼女はロシア皇帝の座に就くことができたのか……?
今日は、今なお最強の女帝と言われる彼女の生涯を鮮やかに描きあげた名著『女帝エカテリーナ』をご紹介したい。
ゾフィー・フォン・アンハルト=ツェルプスト。
並はずれた知性と教養を持つ彼女は、ドイツの中流貴族の娘でありながらも、自分は支配する側の人間だと齢10歳にして理解していた。
ゾフィーは、亡きロシア大帝の孫、ピョートル・ウルリックとの親交を重ねる。
やがて彼女のもとに、ロシアのエリザヴェータ女帝からの招待状が届く。
ロシアの玉座が自分を待っている。彼女は直感した。
そして1744年、14歳にして彼女はロシアへと旅立つのだった――。
ゾフィーは、その時に祖国・ドイツをすべて捨てることになる。
彼女は、ロシア語を熱心に学び、宗教さえルター派からロシア正教へ改宗、名前もエカテリーナに変えた。
そして、ロシアのために心血を注ぐ彼女は、最初の思惑通りにピョートルと結婚する。しかし、本当に心が通いあうことはなかった……。
それでも彼女は、ピョートルではなくロシア帝国と結婚したのだという信念を、ただ貫き続けた。
幾人もの愛人を持ちながらも、彼女は自分を世界の中心にすえ、愛に溺れるのを避けて生き抜いたのである。
「権力と愛慾と闘争に生きた華麗で偉大な女の物語」――本書からの抜粋だが、エカテリーナの生涯は、まさにこのとおりの一大大河ストーリーだ。
むろん、18世紀のロシアという舞台がそうさせたのもあるだろうが、彼女の強烈な個性と意志力、そして情熱には、まったく頭が下がるとしか言いようがない。
また、ストーリーもさることながら、その時代考証の確かさや、当時のドレスや背景に至るまでを見事にマンガで描き出した著者の実力が伝わる、じつに読みごたえのある1冊だ。
ページを開けばそこは、絢爛豪華なロシアの宮廷。
今日はぜひ、苛烈な女帝の生き様を堪能していただきたい。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」