『ベルサイユのばら』第11巻
池田理代子 集英社 \660+税
(2014年8月25日発売)
長いこと心に引っかかっていたシーンがあった。帰宅したオスカルにばあやが言う。「だんなさまが……オスカルさまに結婚を……」。オスカルが応接室に行くとそこには父と、かつての部下、ジェローデルがいた。父が用意した結婚相手とはジェローデルのことだったのだ。
「はじめてあなたと近衛隊でいっしょに仕事をしたときから……そのときからずっと……ずっと長いあいだあこがれてまいりました」などといきなり熱烈に求愛するジェローデル。
ええっ、そうだったの?
しかしその違和感も本書『ベルサイユのばら』11巻を読めばきれいさっぱり解消されることだろう。幼少期の2人の邂逅と、ささやかな因縁、そしてオスカルへの憧れ……たとえば「エピソード2」にはジェローデルという人間がいかに形成されたかが、端的かつ魅力的に描かれているのだ。