日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ラーメン大好き小泉さん』
『ラーメン大好き小泉さん』 第4巻
鳴見なる 竹書房 ¥580+税
(2016年6月17日発売)
女子高生・小泉さんが、毎回大好きなラーメンを食べる、という話。
クールビューティーの小泉さんが、ラーメンを食べるとき、さらには食べ終えた際に見せる表情がすばらしくて、そのギャップが萌えどころです。
第4巻に登場するのは、トマトラーメン、ジャンボ餃子&ジャンボラーメン、油そば、テキーララーメン、肉そばといったところ。
食べる場所も、ラーメン専門店だけでなく、インスタントラーメンを調理して出す居酒屋だったり、高速道路の海老名SA(上り)のレストラン、東武線「春日部駅」のホームの立ち食いラーメン店など、バラエティに富んでいる。
つくづく日本は、いろんな場所でおいしいラーメンが食べられるのだな、と実感。
作中に登場するお店は、店名が微妙に消されていて、パっと見にはわからないようになっている。でも、店舗の外観や出てくるラーメンは忠実に描かれているので、ちょっと調べれば、どこの店かはわかるはず?
この「ちょい消し」が『ラーメン大好き小泉さん』のニクいところで、少し隠されるとかえって好奇心がかきたてられて、検索したくなってしまう(知っている店だと、「オレわかったもんね」と優越感に浸れますしね)。なかなか絶妙な趣向といえるだろう。
ちなみに、本書の帯には「深夜に読むのはいいぞ。※太るぞ。」とあるのだが、小泉さんたちの食べっぷりがいいので、ついつい読んでいる側もラーメンを食べたくなってしまうのが困ったところ。
小泉さんいわく、
「ラーメンは 食べたい時が一番の食べ時です 深夜だろうと関係ありません」
まさしく至言。しかしながら、健康を考えると深夜のラーメンは、ちょっとね……。
ところで、ラーメンの1ジャンルとして確立した感のある「つけ麺」、これが意外と『ラーメン大好き小泉さん』には登場してきていなかった。
ところが、第4巻のラスト、小泉さんが友人に壁ドンして「つけ麺はラーメンじゃないと?」と迫るところで第4巻は幕となる。
小泉さんは、つけ麺をどんな風に食べるのか? 2016年冬発売予定の第5巻が楽しみです。
<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。、「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。「2016本格ミステリ・ベスト10」(原書房)でミステリコミックの年間レビューを担当。