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『ラーメン大好き小泉さん』第3巻 鳴見なる 【日刊マンガガイド】

2015/11/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ラーメン大好き小泉さん』


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『ラーメン大好き小泉さん』第3巻
鳴見なる 竹書房 ¥580+税
(2015年10月7日発売)


ラーメンが好きで仕方ない美少女、小泉さん。
ドラマ化したこの作品も3冊め。背脂系ラーメン、大阪の鶏白湯、回転すしのラーメン。
ラーメンあるところに小泉さんあり。

ページを開いてすぐ、登山をする小泉さんの姿がある。もちろんひとり。
彼女がなぜ山に登るのか……は言うまでもないですね。

この巻ではラーメン店で起きる問題のひとつ、「行列」について扱っている。
「行列のできるラーメン屋」は、おいしさの表現。しかし本当に「2時間も3時間も並ぶ=おいしい」なんだろうか?

小泉さんが好きで追いかけ回している女子高生の悠は、ある行列のできるラーメン屋に並んで1時間待ち続けていた。
ところが自分の目の前で数人の若者が割りこみ。あげくのはてに「あの子ひとり?」「一緒に食べる人いないのかな かわいそう」と言われて涙目。

ラーメン屋の行列の割りこみは、だれがなんと言おうと迷惑行為。
それに対して、小泉さんは言い放つ。
「ラーメン好きにそんな不届き者は存在しません」

小泉さんのラーメンの食べ方はストイックだ。何もしゃべらず、マナーを守り、だれかとつるむことがない。
同時に、極めて情熱的だ。おいしいラーメンのためなら山だって登る。長距離旅行にだって行く。何件もはしごする。
合理的な彼女、行列自体は好きではない。ではなぜ彼女は「行列」に並ぶのか。
食べたいという衝動に駆られてしまったら、並ぶしかないからだ。

後半、小泉さんは風邪をひいて何も食べられなくなってしまう。
彼女は復帰してから2週間ぶりにラーメンと再会した。
16ページ、セリフなし。1杯のラーメンを食べる小泉さんの姿が描かれる。

彼女がラーメンを食べながら、感極まって流した涙。
1巻のラーメンを食べるシーンが「快楽」だとしたら、3巻は「愛」だ。
愛の前には、山も、行列も、移動距離も、障害ではない。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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