日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『100万円の女たち』
『100万円の女たち』 第2巻
青野春秋 小学館 ¥552+税
(2016年6月30日発売)
『俺はまだ本気出してないだけ』の青野春秋による新連載。
売れない小説家、道間慎(みちま・しん)は5人の美女といっしょに暮らしている。
女たちは毎月、彼に100万円支払い、彼が女たちの食事などの世話をしているのだが、彼女たちの経歴などは読者には謎に包まれている……。
謎めいた男と女たちの奇妙すぎる共同生活を追いながらも、第2巻では、彼女たちの経歴や職業、収入源、そして同居することになったいきさつが徐々に明らかになってくる。
情報が増えれば増えるほど謎が深まってゆく、スリリングなストーリーテリングはあいかわらず秀逸。彼女たちの真意はなんなのか!? がぜん興味をかきたてられる展開になってきた。
ゆる~く他愛のない会話のなかにただよう、不穏な空気と緊張感。シンプルであっさりした絵柄と、ひとくせある登場人物の鋭い人間描写のマッチングも絶妙。
普通なら抱えきれないような過去を抱え、謎の共同生活に秘められた罠に気づきながらも、終始平静をたもっている主人公を、今後どのような事件が襲い、どのような感情の変化が描かれるのか?
平穏な日々に小さなさざ波が立ち始めた今が、読み時だ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69