日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『あの娘はヤリマン』
『あの娘はヤリマン』 第2巻
北内乙三 集英社 ¥400+税
(2016年7月4日発売)
ヤリマンと噂されていた女の子は、じつは「槍マン」でした!
という本当にしょうもない超出落ちネタを、よくエンジン全開で2巻まで描ききったものだ。
第1巻のしょっぱなで、槍マンこと林沖美(はやし・おきみ)が敵をあっさり串刺しにして以降、ありとあらゆる「それやっちゃだめだろう」という地雷を踏み続けてきた。「マン臭」やら「グロマン」やら、シモネタは豪快にばらまいた。手マンの技「SOD(ストライクオンデマンド)」のような、それ18歳以上じゃないとわかんないネタですよね、というのも躊躇なし。
地下闘技場のグラップラーみたいな、秋田書店系のパロディもモリモリ放りこんでいる。出版社違うのに。
じつはこの作品、描かれているギャグ自体は破天荒で下品だが、やっていることは「メインキャラ(林沖美)が、次々に現れる個性の強い敵をトーナメントで倒し、ラスボス(手マン)へ向かう」という、ジャンプ王道ストーリーだったりする。
第2巻はパワーアップのための(微妙な)修行、無人島での水着イベント、最終武器の入手、生き別れだった父親との再会、奥義の発動、最終戦と、少年マンガの必須イベントは、全部盛りこみずみだ。
というか1冊にその流れを全部盛りこんでいることじたいが、少年マンガをメタ的に見た、壮大なギャグなのだろう。
正直もっともっと続きを読みたい作品。だが、たった2巻にものすごい濃度でギャグをつめこんだからこそのおもしろさなのだろう。
作者の次回作が本当に楽しみ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」