日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『さよならジュリエッタ』
『さよならジュリエッタ』 第1巻
道明宏明 講談社 ¥600+税
(2016年7月8日発売)
少女たちがじゃんじゃか死んでいく。
みなが死ぬのがはやすぎて、何が起きるているのかわからなくなるくらい。
宇宙進出をした人類が、少女を生体兵器にした「翔姫」(しょうき)で戦うようになった時代の話。
少女は巨大化し、宇宙服を着ずとも宇宙空間を自由に飛び回り、激しい戦闘をこなしている。
ジュリエッタとコゼットは翔姫となり、模擬戦闘訓練後、みんなとパーティをしていた。
ところが突然襲撃を受けて、名前も個性もわからぬまま仲間がみんな一瞬で死ぬ。
教官的な立場の司令官たちも即死。
残ったのはジュリエッタとコゼットだけだったが、コゼットも敵の手に捕まって殺されてしまう。
怒りにかられたジュリエッタが暴走してからが、物語の幕開けだ。
第1巻後半では、戦闘団に回収されたジュリエッタの生活が描かれる。
こちらはじっくりと、新しいキャラクターや、翔姫のシステムについて語られている。
おでこチビや褐色ギャルなど多用なキャラが大騒ぎし、戦闘シーンもない。
ものすごい勢いで展開していた前半から一転して、ほのぼの学園コメディだ。
ただ登場する彼女たちはいずれも、いつ死んでもおかしくない。次のページをめくったら死んでいるかもしれない。少し前のページで笑っていたジュリエッタの友人は、両手両足をもぎとられ、顔を潰され虐待された。
翔姫として育てられた少女たちは、勝てなかった場合は「戦死」するか、敵に捕えられて洗脳されるか。決して助けてはもらえない運命。
少女たちの命は、紙くずのように軽い。
だからこそ、コゼットを救おうと暴走した際に、負けたはずなのになぜか敵に生かされたジュリエッタの存在が大きくなる。彼女の復讐は、「何度も死に 何度も生きて 復仇を果たす」ことになるらしい。
死ねないということは、何よりも残酷なこと。
ジュリエッタが歩む修羅の道、とことんまで熾烈なものになって、輝いてほしい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」