日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『葬儀屋と納棺師と特殊清掃員が語る不謹慎な話』
『葬儀屋と納棺師と特殊清掃員が語る不謹慎な話』
おがたちえ(著) nontan/小西(協) 竹書房 ¥1,000+税
(2016年7月14日発売)
『葬儀屋と納棺師が語る不謹慎な話』に続くシリーズ第2弾。
本作は取材協力に特殊清掃員の方を加え、またまた業界人しか知りえない“現場”の内幕を赤裸々にレポートする!
かつて葬儀屋の職に就いていた作者が見届けてきた死の風景……そこには感動的なちょっといい話もあれば、笑えない修羅場もあり!?
そして亡くなった人を棺に納める納棺師も、そうとうの覚悟がなければできない仕事。鉄道自殺、浴槽に長時間浸かった遺体、果ては孤独死の末に何カ月も経過されてから発見された遺体なんてものにも直面するわけで……。
ライトなエッセイコミックのタッチで明るく描かれているからおもしろく読めるというものだ。
いやはや、不謹慎だとしてもこんな仕事、深刻になってばかりじゃやってられそうもない!
とどめは、汚部屋やワケありの部屋を“元の状態に戻す”エキスパート、特殊清掃員の語るエピソード。腐乱死体があった部屋は、遺体が撤去されたあととはいっても想像を絶するハードさだ。
本気で虫がダメな人にはオススメしませんが……それも我々の日常に当たり前のように存在していることで。
必ずしもきれいごとではすまされない“人の死”にまつわるあれこれ、葬儀の仕事に携わる方々の苦労を考えさせられる一冊である。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」