日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『トクサツガガガ』
『トクサツガガガ』 第7巻
丹羽庭 小学館 ¥552+税
(2016年6月30日発売)
いやー、すっかりオタ充してますなあ、仲村さん……。
社会人隠れオタクの悲喜こもごもを描いて、連載開始直後から多くのオタクたちの共感を集めたこの作品も、はや7巻。
連載開始当初はひたすら孤独だった仲村さんも、特オタ人生の頼れる先輩である吉田さんを筆頭に、世代も趣味も多様なオタク仲間たちに囲まれ、すっかり充実したオタクライフを歩んでいらっしゃる。
子どもの頃見た番組の思い出が美化されているかどうかにハラハラしたり、昭和生まれのおっさんの「最近の若いやつは」的な物いいにイラッとしてみたり、リメイク作品と原典の差にモヤッとしてみたり……日々の細かい悩みはあるけれど、オタク人生は全体的には好調だ。
見ているとちょっとうらやましくなってくるくらい。
仲村さんのつきあいの広がりに合わせて、作中内で扱われる特撮の題材がバリエーション豊かになっている点も、読みどころ。
戦隊(っぽいの)やライダー(っぽいの)やメタルヒーロー(っぽいの)だけではなく、テレビ人形劇や子ども向け時代劇(忍者!)などなど、今となってはジャンルの濃いファン以外に忘れられつつある題材を、さらっと作品化している点は、じつにおみごと。
物語は、最後の最後で少々不穏な雰囲気をかもしだすセリフがあったものの……はてさて、これからどうなるか。今後の展開からも、ますます目が離せない。
<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei