『果てしなき渇き』
深町秋生(作) 安宅十也(画) 宝島社 \580+税
(2014年6月20日発売)
原作小説は、第3回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』。
2014年6月27日より、同小説の映画化『渇き。』も公開されている、話題の“イヤミス”作品だ。
そして、「このマンガがすごい!WEB」で連載しているコミカライズが、本日いよいよ最終回を迎える。(本サイトでは『果てしなき渇き』の試し読みを公開中。)
男子生徒から壮絶ないじめを受けていた瀬岡直人は、屋上で美しい容姿の少女・藤島加奈子と出会う。加奈子に心ひかれた瀬岡は、彼女との関わりを持つようになるが、この出会いが瀬岡の運命を大きく変えてしまう。
とある強盗殺人事件を調査している加奈子の父・藤島、加奈子に救われたと思っている瀬岡、2人の男を中心に、積み重なっていた謎が、少しずつ紐解かれていく。 暴力、殺人、いじめ、クスリ、売春……人間社会の闇がぎっしりと詰め込まれていて、ページをめくるごとに鬱々とした気持ちになってくる。さくさくと読めるのに、読みごたえはずっしり。
「のどが乾いたら水を欲しがるでしょ?」
付き合っていた男子生徒・緒方が自殺して以来、どこか冷めた目をした加奈子。自身の“渇き”を潤すため、他人を次々と狂気におとしいれていく。加奈子のサディスティックな行動は、健全な青少年にはちょっと刺激的!?
作画担当の安宅十也のタッチで描かれる、屋上という開放的な空間で加奈子が魅せる表情に、ぜひ注目して読んでみてほしい。
数々の男たちを魅了する加奈子ははたして天使なのか、悪魔なのか……。
危険信号が点滅しているにもかかわらず、甘い蜜に吸い寄せられたように彼女に群がる男たちの最期は、イヤミス好きにはたまらない(!?)バッドエンドに仕上がっている。
バカな男たちだとは思いながらも、こんな美少女がいたら振り回されてもいいかも、なんて。
平凡な日常に刺激を与えてくれる、現代のノワールだ。
<文・めいりー(編集部)>
新人編集スタッフ。ふだんは少女マンガを中心にマンガを読み漁っている。