日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『さよなら、ハイスクール』
『さよなら、ハイスクール』 第1巻
森もり子 秋田書店 ¥600+税
(2016年7月20日発売)
スクールカーストとは、イコール“いじめ”ではない。
しかし、そこには確実に上位の者から下位の者への圧力があるのは事実。
運動部所属で活発だったり、オシャレだったり……ちょっとワルかったとしてもその如才なさで先生のウケは悪くない。教室のなかで我が物顔にふるまう“イケてる”上位グループを立て、うまくやるのが普通の人々である中位グループ。
暗い、地味、ダサい、まじめ、カタブツ……“イケてない”とみなされる男女が下位グループ。
本作の主人公・朝倉もだれに決められたわけでもないが、自他ともに認める最底辺の高校生。
みんながいやがる文化祭実行委員を、決してむりやりにではないが――自分から「やります」といわざるをえず、引き受ける。その空気こそ、スクールカーストの支配力が作りだしたものである。
こんなよどんだ空気はもうごめんだ!
朝倉は、この教室を支配する力をぶっ壊す決意をした。
もし自分がスクールカースト上位の女子とつきあえば――みんなの“常識”は崩れ始め、教室の秩序は混乱するのでは!?
朝倉の野望は果たされるのか?
40人にも満たない小さなコミュニティだけれど、たしかに教室は社会の縮図。
勝手に最下層に置かれた朝倉の社会改革に、注目あれ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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