日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『夕空のクライフイズム』
『夕空のクライフイズム』 第10巻
手原和憲 小学館 ¥552+税
(2016年7年29日発売)
「勝つことに意義がある」でも「がんばることに意義がある」でもない――「美しいサッカー」という新しいスポーツ観を示したサッカーマンガ、完結巻。
最後まで、雨宮監督父娘がもたらすメッセージは揺るぎなく、心の奥に深くしみこむ作品となった。
「県央杯」優勝を惜しくも逃し……「負けたら退任」と宣告されている雨宮監督の去就はいかに!?
それにしても、最終巻にきて2話ぶんをしっかり“感想戦”に費やす通常運行ぶりも、じつに「らしい」というか。
優勝をかけて戦ったライバルとともにした時間を振りかえり、「評価」しあう。そんなシーンも、本作の軸をかたちづくっている。
木登学園のメンバーたち1人ひとりがどんなふうに練習に取り組み、どんなふうに成長してきたか。その足跡を私たちは忘れない。
いつかまた、その後のメンバーたちに会えますように。そして、魅力的なヒロイン雨ちゃんにも!!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」