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『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』 第1巻 岡崎琢磨(作) 峠比呂(画) 【日刊マンガガイド】

2016/08/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』


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『このマンガがすごい! comics 珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』 第1巻
岡崎琢磨(作) 峠比呂(画) 宝島社 ¥540+税
(2016年8月22日発売)


名探偵バリスタ(珈琲のソムリエ的なもの)の切間美星(きりま・みほし)の物語。
……なのだが、まずはその妹、表紙のツインテールの子・美空(みそら)をぜひとも見ていただきたい。

一見幼く見えるけれども、お酒を飲める年の様子。
行動はわりと大雑把で、自由奔放。コミュ力バツグンでだれに対しても積極的。太ももは全開。
姉の美星がおとなしく理知的なので、対比がとても絵になる。
2人の間にはちょっと秘密があって、関係は何やらギクシャクしている。
「大人の姉妹」物が好きな人に、ぜひともおすすめしておきたい。いい距離感ですよコレ。

この巻は『珈琲店タレーランの事件簿』全2巻の続きになっており、位置的には3巻目だと考えてOK。 とはいえ第一章で、美星がどんなキャラクターかはだいたい描かれているので、ここから読んでも問題はない。

コミカライズしている峠比呂は、成人キャラクターの、ちょっと裏のある部分を表現するのに長けている作家だ。人間には各々の秘めた思いがある、という含みをドロドロしすぎないバランスで描くのがうまい。
たとえば、相手の家族構成とか、恋人の有無とか、過去の経験とか。
時おりキャラクターの私生活がぽろっと出て、生々しさにハッとさせられる。

それが『タレーラン』シリーズの人物構成にとてもマッチしている。
なんといっても、食えない美空の魅力をバツグンに引き立てている。キラキラした笑顔の裏で何を考えているのか、読み進めるにしたがってどんどんわからなくなる。
推理を働かせ雄弁に語る美星は、すぐ会うことのできそうな身近感あふれる珈琲店員。だけどあまりにも洞察力がすごすぎて、ちょっとつかみきれない存在。これをうまいさじ加減で表現している。

基本的にこのミステリーで描かれるのは、犯罪ではなく人と人とのトラブル。特に恋愛沙汰にまつわる推理が多い。
美星は冷静沈着な人物。基本的に情報収集は会話のみで解決できるすご腕。
ところがほかの人の問題はスパンと解決している彼女も、妹とのごたごたとなるとそう簡単にはいかない。
家族だからこそ踏みこめないことは、多いものだ。

姉妹として、家族として、女として。
8月25日公開予定の第七章で、様々なことが明らかになるようだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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