365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月29日は人見絹枝が日本人女性で初めて金メダルを手にした日。本日読むべきマンガは……。
『ライジング ガール! 人見絹枝物語』
比古地朔弥 祥伝社 ¥952+税
リオ五輪の熱戦を毎日楽しみにしていたみな様は、閉幕から1週間たった今も「もっともっと熱いスポーツを観ていたい!」という欲求が渦巻いているのでは?
1926(大正15)年の8月29日は、日本女子陸上が初めて国際舞台に名乗りを上げた日……スウェーデンで開かれた第2回国際女子陸上競技大会で人見絹枝が個人総合優勝した日である。
当時、五輪の競技に女子陸上はなかった。わずか90年前の話だが、なにしろ五輪の創始者であるクーベルタンが「女性が陸上競技する姿は醜悪でしかない」といいきっていたのだからどうしようもない。
しかし、一方では女子スポーツの向上を目指す動きも盛り上がり、五輪とは別にこうした大会が開かれるに至ったわけだ。
この大会に、日本から単身乗りこんだ人見絹枝。その人となり、競技人生を描いた本作は、まさに熱いドラマに飢えている方にオススメ。
欧米ですら女子が陸上をやることが受けいれられていなかったのだから、大正時代の日本はいわずもがなだ。充分な指導者もいないままに「日本代表」として大会に送りこまれた人見のミラクルな活躍ぶりにワクワクが止まらない!
その2年後に開かれる1928年のアムステルダム五輪では、晴れて女子陸上が解禁に。さて、この大舞台で人見がまた、マンガみたいなことをやってのけちゃうんである!!
ああ、これは死んでもネタバレしちゃいけないとこなんで自粛するが……天賦の身体能力、たゆまぬ努力、そして勝負に賭ける執念が起こす奇跡をあますところなく堪能できる。
日本女子陸上界の輝ける“伝説”に胸をときめかせながらリオ五輪を振り返るのも一興だ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」