365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月31日は初音ミク誕生祭。本日読むべきマンガは……。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第189巻
秋本治 集英社 ¥400+税
2007年8月31日はヤマハ開発の音声合成システム「VOCALOID」を採用した、クリプトン・フューチャー・メディア発売のVOCALOID音源ソフト「初音ミク」の発売日である。
キャラクター・ボーカル・シリーズの第一弾としてボイスアクトに声優・藤田咲を起用し、キャッチーなキャラクターイラスト・設定を採用することで、ソフトそのものにバーチャル・アイドル的な親しみやすさを付与した本作は、それまでデスクトップ・ミュージック(=DTM)に興味がなかった層にまで影響を及ぼし、発売後1年間で販売本数4万本以上の大ヒットを記録。動画投稿サイトを媒介にして本作の使用楽曲を増やし続け、現在まで続くVOCALOIDブームのきっかけを作ったのだ。
もはや老若男女を問わず親しまれているVOCALOID楽曲だが、漫画家のなかにも愛好者は多い。
長寿連載で知られる国民的ギャグマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者・秋本治もそのひとり。
熱心なVOCALOIDファンであることを公言している秋元氏は『こち亀』作中でもたびたびVOCALOIDを話題にとりあげており、189巻ではVOCALOIDをモチーフにした「保可炉衣土(ほかろいと)」というキャラクターも登場させているほどの愛着を見せている。
また、秋元は少女マンガ誌「マーガレット」の創刊50周年読み切りシリーズ企画「50年後の未来へ」では、VOCALOIDをメインテーマにすえた『Vocalo -ボカロ-』という短編作品を発表し、VOCALOIDが世界的なムーブメントとなった50年後の近未来におけるボカロP事情を描いている。
『Vocalo』はスマートフォンアプリ「マーガレットBOOKストア!」で無料閲覧できるので、VOCALOIDに興味がある方はぜひ読んでみてほしい。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。