『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第124巻
秋本治 集英社 ¥390+税
1990年の本日に陸上自衛隊が制式採用した90式戦車は、ソ連製のT-72に対抗するために開発された戦車だ。
主砲の120mm滑腔砲の絶大な威力、主砲をサポートする高精度な火器管制システム、堅牢な複合装甲、最高時速70kmが生み出す機動性などなど、米軍のM1エイブラムスやドイツ軍のレオパルド2をはじめとする、各国の傑作戦車たちに負けずとも劣らないスペックのだ。
そんな90式戦車を扱ったマンガは数多くあるが、そんななかで今回取り上げるのが『こちら葛飾区亀有公園前派出所』1189話「バカ(りょーつ)が戦車(バトルタンク)でやってきた!?」だ。
両津勘吉がミリタリー知識に精通していることは、少しでも『こち亀』に触れた者ならだれもが知っていることだろう。
そんな両津が、電動ガンでおなじみの玩具メーカーである東京マルイ製の1/24RCバトルタンク90式戦車を派出所に持ってくるところから、このエピソードは幕を開ける。
開封直後に起動できるお手軽さに加え、主砲からのBB弾発射機構(高精度)や高い機動力など、のっけから東京マルイが誇る最新のラジコン戦車の魅力を解説し始める両津。
熱い解説は、昭和30年代に起きたプラモデルの革命「電動化」から始まるラジコン戦車の歴史にまで及び、『こち亀』における他の趣味紹介エピソード同様、いまいちピンときていない中川と麗子にむかってラジコン戦車の魅力を9ページにもわたって語り倒す!
さらには署内でRCカーを走らす同僚たちとのレースに90式戦車で勝利したりと、知識の披露だけにとどまらず実戦での強さもアピール。
趣味に関してはまじめすぎる両津のスゴさがかいま見えるエピソードのひとつだ。
掲載当時(2000年)としてはハイスペックなRC90式戦車のスペックをあますことなく堪能できる。
また兵器としての戦車同様、試行錯誤とともに発展してきた玩具戦車の歴史も学べる好エピソードなので、ちょっとでも興味のある方はぜひご一読を。(いちおう実物の90式戦車も登場する!)
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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