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【10月の「このマンガがすごい!」ランキング オトコ編】『空が灰色だから』『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部共実の、青春をエグる最新作が堂々の第1位!

2017/09/20


業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。

今回は『このマンガがすごい!2015』オンナ編第1位に輝いた『ちーちゃんはちょっと足りない』 著者の阿部共実の新連載! まだ幼さが残る中学生のヒロインとミステリアスな少年との交流を描いた本作には、ランキング選者たちから熱いコメントがそれはもう、いつにも増してたくさん集まりました!

さらにランクインしたのはそれだけじゃありません!『ドーベルマン刑事』などの人気作でおなじみ、巨匠・平松伸二の最新作がランクイン。それはなんと、恐怖と暴力のはびこる自伝的漫画家人生マンガ(なんかあのマンガも彷彿とさせる……)!? さらには映画好きのハートをくすぐるアニメ化も決まった話題作……と多種多様な作品がランクインしました!!

旬なマンガが多くランクインした今月のランキングを、アンケート回答者のオススメポイントとあわせてチェック!!

(2017年8月1日~8月31日発売作品を集計)


⇒⇒⇒ランキング「オンナ編」も要チェック!!


第1位(224ポイント)

『月曜日の友達』 阿部共実

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『月曜日の友達』
阿部共実 小学館

中学校に進学してまわりが大人びてくるなかで、子どもっぽさが抜けずクラスメートとうまくなじめない水谷茜。そんな彼女が深夜の学校で出会ったのは、同じく学校で浮いている男子、月野透だった。昼間は何を考えているかわからないミステリアスな雰囲気を持つ透だが、夜の学校では子どものように無邪気な笑顔を見せる。その透と茜は、毎週月曜日の夜にだけ学校で会う約束をすることになって……。

空が灰色だから』『ちーちゃんはちょっと足りない』などで、思春期の男女の多感な心情を切りとってきた阿部共実の新作は周囲になじめない少女と少年のガール・ミーツ・ボーイな物語。昼間の学校のどこかよどんだ陰鬱な雰囲気、それとは対照的に夜の学校での幻想的で色鮮やかな情景、そこに絡む茜の詩的なモノローグ。どれをとってもこの著者にしか描けない一級品。このあと2人の関係がどのように進展していくのか、たくさんの期待とちょっとの不安が入り混じって目が離せない。

オススメボイス!

異様に引きこまれる鮮烈な世界がある。言葉もない。何がどうなってこんなに感情を揺さぶられるのか、わからないまま何度も読み返している(raven3764/ディレッタント)
マンガ表現の新しいかたちを提示する画期的な作品かもしれない(ただし、マネをしようとしてできるものではない)。これからの展開から目が離せない(奈良崎コロスケ/マンガ、映画、バクチの3本立てライター)
■阿部共実先生待望の新作長編。絶対に永遠ではないとわかっているからこそ美しい子どものままの時間。『ちーちゃん』のイメージが強いと、このあと転落していくことを恐れてしまうかもしれないけれど、けっして阿部共実先生は「不穏」や「不安」で心をえぐるだけの作家ではないはず。この先の崩壊をおそれるより、今この瞬間の美しさに触れられることに感謝をしたい(ササナミ/【肩書き】ブログ「雑食商店街3373番地」管理人兼書店員)
■言葉の配列やコマや背景などすべてが圧倒的(太田和成/TSUTAYA BOOK STORE 五反田店 コミック担当)
■同級生と興味がズレていたり、周囲より子どもっぽかったりして、クラスから浮いた存在になっている男女……。そんな2人の独特な友情のありかたを描いている。同級生と話があわない、同級生から取り残されている、そんな心情と無縁ではない10代を送った私には胸の深いところに触れてくる作品だ。主人公の女の子の詩的なモノローグも印象的(稲垣高広/ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人)
■阿部共実のしばらくぶりの新作。中学1年生になった主人公らの心の変化、またはその悩みを描く作品。どこかポエム的ではありますが、しっかり絵で見せてくるマンガ。ファンは要チェックかと(麻野昌三/わんだ~らんどなんば店店長)
これまでの作品をすべて統合したかのような新境地。画面の使い方からひとつひとつのセリフまで、何もかもが最上級(漫画トロピーク/謎の社会人サークル)
■枠にハマらない人間の、秘密の密会というシチュエーションがすでに心に刺さる。2人でいる時だけが、本当の自分を出せるというのが伝わってくる。何がいいって それでいて、この平穏は続かないかもしれないって、常にドキドキしながら読んでしまうのだ……(ふな/ブロガー/ライター)
■中学生になってもまわりと違い、大人になれない自分に戸惑う水谷と、ミステリアスな雰囲気の少年・月野の、月曜日だけの友情関係。神戸の住宅地の生活や夜の学校などの風景描写は、水谷の詩的で繊細なモノローグによって彩られて、モノクロのマンガを読んでいるはずなのに時おり、色がついて見えるほどに美しい。今年を代表する一作になるであろうことを確信できる(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)


第2位(188ポイント)

『そしてボクは外道マンになる』 平松伸二

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『そしてボクは外道マンになる』
平松伸二 集英社

人気漫画家になる夢を抱いて、岡山から上京してきた平松伸二(18)。しかし、東京で彼を待っていたのはあまりにも過酷な環境だった。ゲロを吐いても寝ずに働く漫画家、いつも木刀を振りまわし漫画家を殴ることもある編集者、平気で愚痴をこぼすアシスタント……。平松伸二青年はこの環境に耐えられるのか?

平松伸二と言えば『ドーベルマン刑事』『ブラック・エンジェルズ』『マーダーライセンス牙』といった具合に、悪党どもを容赦なくぶち殺していくバイオレンスな作風で知られる大御所だ。しかし本作で書かれる平松伸二は追いかけてくる締切の恐怖に頭を抱えることもあれば、年上のアシスタントとの人間関係で悩んだりもする純朴な青年だ。やはり作家と作品は別物ということなのか、それともこのあと、漫画家としての地獄を乗り越え、我々がイメージする『平松伸二』になっていくのか。漫画家の自伝的作品なのに、やたらと暴力描写が目立つ、フィクションと現実の狭間を漂う強烈な一作。

オススメボイス!

■平松伸二の、超絶自伝マンガ。どこまで本当でどこからフィクションなのかなど、気にする必要まったくなし。集英社の編集者たちがものすごく極悪に描かれているのが最高に楽しい(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■「ジャンプ」の編集は全員ヤクザ、本宮ひろ志は番長で、平松先生は童貞と、車田正美以上に嘘八百な自伝マンガなのだが、アシスタントに土下座したとか、愛読者賞で2位になってもヨーロッパ旅行に行けなかった悔しさとか、真実としての思いがキラリと光る。ネームをノリノリで描いている平松先生の姿が思い浮かぶおもしろさ(マクガイヤー/ブログ「冒険野郎マクガイヤー」管理人/ニコ生主)
■平松伸二先生の自伝的作品。「ジャンプ編集部」というよりは「集英組」といったテイストで描かれる「ジャンプ」黎明期の編集スタッフの面々がステキすぎる。「細けぇことはどうでもいい」とはいかない感じです(加山竜司/フリーライター)
■黄金期の「ジャンプ」関係者たちが、「平松テイストの悪役フェイス」で登場する時点でもうズルイ。かつての「ジャンプ」少年たちが、大人になった今だからこそ楽しめる、ド外道マンガ回顧録(ツクイヨシヒサ/マンガ評論家)
■自伝的作品、といわれるジャンルにあって、群を抜いて泥くさく生々しく、血の通った実在性がある。往時のアクの強い人々の描写がいかにも平松節で、作家の作風がいかにして培われてきたのかの物語に一服の清涼を添える(raven3764/ディレッタント)
■このマンガをひと言で表すとするならば「全員悪人・顔(ヅラ)」。 担当編集者の権堂を始め、出てくる人物がマンガ関係の人間とは思えないような悪人ヅラぞろい。こんな外道マンたちが豪快にそして命を削りながらつくりあげた、平松先生の代表作『ドーベルマン刑事』。そしてそれが連載されていた黄金期の兆しが見え始めた時代の「少年ジャンプ」はすごかったんだと、あららめて感じさせる作品。平松先生は60才になってもマンガの勢いがまったく衰えず! スゴイ!!(ゴロー/AV男優)


第3位(180ポイント)

『映画大好きポンポさん』 杉谷庄吾【人間プラモ】

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『映画大好きポンポさん』
杉谷庄吾【人間プラモ】 KADOKAWA

映画界の巨匠の孫として、才能やコネクションといった映画づくりに必要な資質を受け継いできた、若き天才プロデューサー・ポンポさん。しかし、なぜか彼女がつくる映画はB級ものばかり。そんなポンポさんの下でアシスタントして働くジーンだが、ある日彼女がつくる新作の監督に抜擢される。
はたしてジーンはポンポさんが満足するような作品を撮れるのか?

もともとはpixivに掲載されていた作品だが、口コミで話題となり、一気に書籍化までされた本作品。かわいらしい外見と足音には裏腹に、独特の揺るぎない感性で映画を語るポンポさんを始め、「目に光が無かったからよ!」という理由で採用されたジーンや、田舎町からやってきた新人女優のナタリーなど、どのキャラクターもとても印象深い。書籍版ではそんな登場人物たちが選ぶそれぞれの映画ベスト3と解説も載っているので、WEB版で読んだという人もあらためてどうぞ。

オススメボイス!

創作する衝動と楽しさを乗せて突っ走る作品。クライマックスシーンは圧巻。ポンポさんの持論「幸福は創造の敵」って恐ろしい言葉だ。読むと好きな映画を並べたくなりますね。(山本浩平/まんだらけうめだ店コミックスタッフ)
■優しさだけでできているような作品ですが、そんな優しさに包まれるのもときには悪くないかと。映画好きの人にとっては夢のような世界(大黒秀一/エンタメ系ライター)
■何かをつくりだすってことをマンガとしてときにはポップに、ときには鋭く描いた良作だと思います。映画というテーマですが、創作者なら何かしらの言葉が刺さるはず。これはいい(麻野昌三/わんだ~らんどなんば店店長)
■pixivで発表されるやいなや、多方面で話題になったマンガがついに書籍化! ただ、pixivにアップしたってことは上から下へスクロールして読まれることを前提に描かれていると思うので、いざ単行本になって「右から左に読んでいったら、どうなるんだろ?」って心配になりましたが、杞憂でしたね。逆に章立てになっていますので、かなり読みやすくなっております。まったく無駄のない濃密なマンガ、そして内容ですので、作中でも描かれていますが、90分の映画を見るようなそんな気分にさせてくれるかと思います。上質な短編作品が好きな方は読んでみるといいんじゃないでしょうか?(種村理沙/KYTIMKYM管理人)
■具体的な理由が自分でもよく説明できなくても読んだ人の心を直に震わせてくる、本能に訴えかけてくるおもしろさ。90分に収まる映画のように、スッキリとした読後感を与えてくれる。今年を代表する一作になるであろうことを確信できる(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)

単行本情報

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  • 『映画大好きポンポさん』第1巻 Amazonで購入
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