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【10月の「このマンガがすごい!」ランキング オトコ編】『空が灰色だから』『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部共実の、青春をエグる最新作が堂々の第1位!

2017/09/20


第7位(56ポイント)

『衛府の七忍』 山口貴由

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『衛府の七忍』
山口貴由 秋田書店

江戸幕府の暴虐に抗うべく、死から甦った怨身忍者たちの活躍を描く『衛府の七忍』。最新巻で登場するのは、これまで数々の漫画家が挑戦してきた日本一の剣豪・宮本武蔵。これまでは怨身忍者側が主人公の立場にあったが、今回はその怨身忍者を退治する宮本武蔵側から物語が進んでいく。

異形の力を操る怨身忍者とは違い、武蔵は人並み外れた膂力はあるがあくまで生身の人間。はたしてただの人間が振るう剣は鬼の身に届くのか?
そしてこの尋常ならざる戦いの行方ばかりではなく、「チェスト関ヶ原」「誤チェストにごわす」など口を開くたびにパワーワードを生みだす薩摩勢の動向からも目が離せない!

オススメボイス!

■「チェスト関ヶ原」だけでも100点だけど、幻之介(=藤木源之助)のこうきたか! という活躍で、溜飲下がりまくり(大黒秀一/エンタメ系ライター)
■『衛府の七忍』の世界に宮本武蔵参戦。これまで登場した数々の異形や怨身忍者と違い、特殊な能力を持たない武蔵がこの乱世にどのような爪痕を残すのか。そして、それ以上がヤバいのが薩摩勢。登場から数ページで切腹は当たり前。怪しい奴は素性も聞かず即チェストと、これまで見たことがなかった最高の薩摩を見せてくれるぜ!(犬紳士/養蜂家)
■ついに山口貴由先生が剣豪・宮本武蔵を描く『衛府の七忍』。同月に発売された、現在日本で剣を追求し続ける、とみ新蔵先生の『剣術抄~五輪書・独行道~』に登場する、マンガ的リアルさを放棄した真の意味でリアルな武蔵も静かな衝撃であったが、大胆すぎる『衛府の七忍』の武蔵像からも当然のごとく目を離すことはできない。「チェストとは“知恵捨て”と心得たり」というセリフひとつだけで、『衛府の七忍』武蔵の圧倒的な“山口貴由感”は伝わるのではないだろうか(四海鏡/石ノ森章太郎ファン)


第7位(56ポイント)

『とんがり帽子のアトリエ』 白浜鴎

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『とんがり帽子のアトリエ』
白浜鴎 講談社

幼い頃に読んだ影響で魔法使いに憧れを持つようになった少女・ココ。
しかし、ある日、魔法使い・キーフリーと出会ったことにより、彼女は彼の弟子として魔法使いの世界に足を踏み入れることに。
しかし、普通の家庭で生まれた人間は魔法使いにはなれないのがこの世界のルール。ルームメイトのアガットは煙たがられ、まわりと比べてうまくいかないことばかり。そんななか、謎の魔法使いの手によって、ココは姉弟子たちといっしょにドラゴンが飛ぶ謎の空間に閉じこめられてしまう。このピンチをココは脱出できるのか?

本作が話題になった最大の要因は、なんといっても魔法が存在するという非現実的な設定を、リアリティたっぷりに表現する精緻な書きこみだろう。第2巻でもドラゴンの描写をはじめとして、その筆はますます冴えわたる。また未熟でまだ魔法を全然使えないココがどうやってトラブルを解決していくのかという部分にも要注目。力押しや気合など、魔法ならではの不思議な力で解決するのではなく、魔法の仕組みをしっかり生かしたロジカルな発想がすばらしい。

オススメボイス!

■絵柄がファンタジーとマッチしている、ストーリーがおもしろいというのは前提として、74ページのように、コマの枠線を窓枠のように装飾し、その内部には「窓の外の世界」「窓に映る世界」「窓の内側の世界」を一枚の窓に写しとっているような、とても斬新な表現手法が随所に使われている点がすばらしい。「(魔方陣を)描く=魔法」という、漫画家にとってのマンガがそれであるようなテーマの取り方がハマっており、描くことへの憧れや畏れがダイレクトに表現されている(加山竜司/フリーライター)
装丁からしてもう傑作を感じさせる密度の高い絵。中身ももちろんすばらしいです。こういうどなたにもオススメできる作品は、書店にとってもありがたいです(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)


第9位(50ポイント)

『寿司 虚空編』 小林銅蟲

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『寿司 虚空編』
小林銅蟲 三才ブックス

先月『めしにしましょう』がランク入りした小林銅蟲の作品が今月もランクイン。タイトルからして、やはり料理マンガなのかなと思いきや、出てくるのは数字、数字、そして数字。

そう本作は日常では縁がないような巨大な数字をひたすら扱っていく、異色の数学マンガ。我々が普通に生きていてはお目にかかれないだろう、「グラハム数」や「ふぃっしゅ数」などの巨大な数字の概念を、10ページぶっ続けで数列を描いて説明するという、これまた普通に生きていてはお目にかかれない手法で描いていく。
そのあまりの力技のせいで、「なぜ寿司屋の親方の娘は幽霊なのか」「なぜ突然プロレスが始まるのか」といったかなりシュールな部分ですら些細なことに思えてしまう、とんでもない異色作だ。

オススメボイス!

■読んでいると足もとがグラグラしてきて平衡感覚を失う(太田和成/TSUTAYA BOOK STORE 五反田店 コミック担当)
■『めしにしましょう』の鬼才、小林銅蟲の幻の数学マンガが単行本化。寿司と銘打ちながら巨大数を語り、途中プロレスを経由して再び巨大数に戻ってくる。氏のよりディープな世界観を存分に味わえる怪作。「普段使っていない脳の領域が活性化して頭がすっきりする」という効用もあるので、数学になじみのない人にもおすすめしたい(ぶち猫/ブログ「ぶち猫おかわり」管理人)


第9位(50ポイント)

『僕はまだ野球を知らない』 西餅

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『僕はまだ野球を知らない』
西餅 講談社

前任の監督が病気で倒れ、弱小野球部の監督をすることになった物理教師の宇佐智己。野球は好きだったが、運動神経がなかったせいで野球経験はゼロのド素人。そんな彼が弱小野球部を勝たせるために選んだ手法が、統計学的見地から成績を分析する「セイバーメトリクス」と、工業高校ならではの数々の機器を活かした「トラッキングシステム」だ。

データ分析と称して相手の監督のストーキングをしたり、経験がないせいで選手から舐められたりと、いろいろ問題の多い宇佐だがその野球への想いは本物。はたして彼の知識と熱意は弱小校を勝利へと導くことができるのか? スポ根ともトンデモとも違う、新しい野球マンガの幕が開ける。

オススメボイス!

■サイバーメトリックスをマンガに取りいれた一作。 ここまで極端に描けるのは、マンガならでは。 この割りきりゆえにおもしろい。 弱小チームであるというのは伸びしろがあるので、 描いていくうえではおもしろい。 そこに、リトルリーグなどでは実績あるがタッパの問題で成長力を 疑問視されて放り出された才能ある人物がおり、 監督の期待というか指導に応えられる、というのがうまい。『おおきく振りかぶって』を『ベイビーステップ』にさらに寄せた感じの話だが、よりデータをごりごりツッコミつつ、そのデータマンが主人公になって、かつコメディ要素を忘れない……。ということで、『逃げるは恥だが役に立つ』の野球版みたいな感じで捉えるのがいいのかもしれない(happysad/「マンガ一巻読破」管理人)
■野球大好きなのにプレイは未経験の物理教師が、念願叶って野球部監督に就任してチームを強くしていくぞ! というお話。セイバーという分析理論を駆使して子どもたちをやる気にさせていく工程がおもしろく、「こんな観点もあるんだ!」という発見の連続でした。ただ熱いだけではないのにしっかり熱い野球マンガ、とてもおもしろかったです(りる/『空夢ノート++』管理人)


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