業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
今回は、『このマンガがすごい!2017』オンナ編第1位、『金の国 水の国』著者・岩本ナオによる新作ファンタジー! とある王国の将軍の息子たち7人は、お姫様に恋をしながらものどかに過ごしていたが、ある日、国を揺るがす重大な任務を命じられ……?
気になる第1位はもちろん、ほかにランクインした作品も注目ですよ! 先日、当WEBサイトでもインタビューが公開された『盆の国』スケラッコの、ちょっと不思議な動物や人物たちの交流に心がほっと温まる短編集。そして45歳のバツイチヒロインがの不登校の娘のことや、中学生男子への恋心に悩みながらも輝き始める、あのヒューマンドラマ、さらには連載16年にわたるファンタジー長編作の完結巻など、少女マンガファンの胸を打つ、秋に読むべき一作が大集結です!
旬なマンガが多くランクインした今月のランキングを、アンケート回答者のオススメポイントとあわせてチェック!!
(2017年8月1日~8月31日発売作品を集計)
第1位(174ポイント)
『マロニエ王国の七人の騎士』 岩本ナオ
『マロニエ王国の七人の騎士』
岩本ナオ 小学館
8つの国からなる大陸の真ん中にあるマロニエ王国。そのマロニエ王国の女将軍・バリバラには、それぞれ変わった名前の7人の息子たちがいて、近隣の7つの国にひとりずつ大使として赴くことを命じられる。「いつかかっこよく 我が国のお姫様を助けること」を大儀とする兄弟だが、貴族の子息のふりをした姫と兄弟のひとり「寒がりや」が急接近。他方で、不吉な「夢」を見るようになった長兄「眠くない」は、婚約者をつれて「夜の長い国」へ出発する。
『町でうわさの天狗の子』『金の国 水の国』の作者の新連載第1巻。兄弟をはじめとするメインの登場人物たちの、あっけらかんとして素朴で朗らかな性格が読んでいて気持ちいい。安定の岩本節! しっかり者でみんなに優しい「眠くない」と、婚約者(めっちゃ強い)エレオノーラ、「寒がりや」と姫、それぞれの未来はどうなるんだろう。
オススメボイス!
■『金の国 水の国』の岩本ナオの最新作。中世風の異世界を舞台とする7人兄弟の(イケメン)騎士の物語。おとぎばなしのような世界観ながら、まだ1巻なのに、しっかりと伏線が張りめぐらされて二度三度と読み返すことで意図がわかるつくりこみは、さすがのひと言。恋愛エピソードも甘すぎないので、カテゴリとしては少女マンガだけれど、男性も楽しめると思う。1巻の最後がすごく気になる終わり方になっているので、次巻の発売が待ち遠しい(ぶち猫/ブログ「ぶち猫おかわり」管理人)
■「待ってました!」の新作。おとぎ話風の世界に登場する意表をつくネーミングの兄弟たちをはじめ、どのキャラも魅力的でわくわくが止まりません! 続きが楽しみです(川原和子/マンガエッセイスト)
■岩本ナオ先生の新作がついに。安定の描きこみ。世界観が素敵。キャラの名前が適当な感じもいい(笑)。基本ほのぼのしつつ、たぶん深いお話になるんだろうなあ、と続きを楽しみにしています(穂高茉莉/楽器店店員)
■岩本先生の作品の空気感が満載の作品(福丸泰幸/喜久屋書店漫画館京都店 店長)
■『金の国 水の国』にも通ずる異国ファンタジー。序章でありながら奥深さを感じさせる展開で、先々が非常に楽しみです(いづき/ブログ「おとよめ」管理人)
第2位(150ポイント)
『大きい犬』 スケラッコ
『大きい犬』
スケラッコ リイド社
突如「インドにいく」と言いだした友人の家の留守番をすることになった高田。「大きい犬がいます」とは聞いていたけれど、まさか二階建ての家と同じくらいでかいだなんて……。じつは犬語を話せる高田と犬との日常が始まる。
『盆の国』の作者による短編集。表題作のほかに、ある日突然、「じつは自分は七福神のえびすさまだった」と言いだした祖父と孫娘の日々を描く「七福神再び」、クリスマスに憧れてイブにケーキを売るバイトを10年続けてきた幸子と母親を描く「クリスマス幸子」など、7つの物語を収録。
オススメボイス!
■長編『盆の国』が話題になった作者による短編集。家ほどの大きい犬との奇妙な交流を描く表題作をはじめ、不思議でほのぼのして圧倒的なメジャー感のある読後楽しい気持ちになる作品集に仕上がっております。小学校1年生から100歳まで幅広い方に自信を持っておすすめできます(すけきょう/ポトチャリコミック管理人)
■意味があるようでないようで、不思議に穏やかであたたかい世界観にほっこり。ずっと読んでいたくなる!(井口啓子/文化系ライター)
■表題作「大きい犬」に心がほっこり。続編もすばらしい。収録作「給食のおばさん」のホーライくんが特に印象に残った。読むべき短編集。新たなる才能発掘(今村方哉/レコード会社勤務)
第3位(88ポイント)
『たそがれたかこ』 入江喜和
『たそがれたかこ』
入江喜和 講談社
齢45歳にしてギターデビューしたたかこさん。娘「一花」の進路や、中学生男子「碧海」くんへの淡い恋心の行く末など、盛りだくさんの物語がいよいよクライマックス。前巻で倒れて救急搬送されたモテモテのチャラ男「美馬っち」もちょっと元気になって再登場。
『おかめ日和』の作者による3年にわたる長編も、とうとう最終巻。全然「たそがれ」ていないように見える光に満ちたエンディング、「この喜びを 世の中の何割の人がわかってくれるのかな」というたかこさんに共感する声多数。
オススメボイス!
■最終巻まで読みとおして、有名な詩人、サミュエル・ウルマンの「青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方をいう」という詩を思いだしました。我慢せずに少しずつ自己実現していくたかこにエールを送りたいし、自分の人生を振り返るきっかけにもなりました(早川博志/恭文堂コミッククラフト店)
■夢のような展開ではなかったけれど、がんばって黄昏期を生きよう、と思わせてくれた美しいエンディング。『たそがれたかこ』は、2000年代の『更級日記』では(和智永 妙/ライターたまに編集)
■入江先生は、自分にとって「背後から刺してくれる読後感」を期待する作家のひとりですが、たかこさんのイタさを容赦なく描いた甘くない結末は、老いても大人になれなかった人間にとっては、身に染みるほどリアルでぶっ刺されました。次作も「だれも描かないような人」の物語に期待したいです(梅本ゆうこ/ブログ「マンガ食堂」管理人)