第4位(70ポイント)
『7SEEDS』 田村由美
『7SEEDS』
田村由美 小学館
隕石が降り注ぎ、人類がほぼ絶滅した未来の地球。種の存亡を賭けて冷凍保存された若者たちは過酷な状況を生き抜き、日本各地から佐渡島に集結する。「方舟」に閉じこめられたナツ、花、蝉丸と、彼らを助けるために孤立してしまった嵐たちをはじめ、若者たちはそれぞれ懸命にもがき、ついに地上で合流を果たす。旅とサバイバルの日々を乗り越え、ついに新しい日常が始まる。
累計580万部・連載16年のSF大作、堂々完結巻! 個性豊かな美男美女たちの、荒廃し変わり果てた未来の日本で様々な苦難苦境がようやくひと段落し、あらためて世界が広がっていくラストに感動必至。
オススメボイス!
■物語がはじまった当初、帰る場所を失った若者たちの未来には絶望しかないように思われた。いや、実際、絶望が支配的な世界が繰り返し描かれてきたのだった。が、未来とは立ち止まらないことの先に存在するものであり、立ち止まらないということは生き続けるということにほかならない。絶望に屈せず、生き続けることで切り開かれた未来に、たしかな希望が降り注ぐ。このことの感動を如実にした最終巻である。もちろん、若者たちの未来には、まだまだいくつもの絶望が待ちかまえているのであろう。しかし、それも必ずや乗り越えていける。ラストの数ページに溢れた笑顔の数々が、信じるに足る未来と希望を、そして、ハッピー・エンドにふさわしい力強さを招き入れている(森田真功/ライター、ブログ「Lエルトセヴン7 第2ステージ」管理人)
■ついに完結しました。どうやってこの究極のサバイバル環境を生き抜いていくのか、全滅以外の方向があるのかと主人公の生存を常に危ぶみながら、なんとかなるはずと念じ続けて読んでいました。希望が見える終わり方で本当によかったです……(アキミ/「ボーイズラブを読む!」管理人)
■みごと完結。こんな骨太なファンタジーを長期間に渡って楽しむことができた私は幸せです(いづき/ブログ「おとよめ」管理人)
第5位(68ポイント)
『ことなかれ』 オガツカヅオ(画)星野茂樹(作)
『ことなかれ』
オガツカヅオ(画)星野茂樹(作) 朝日新聞出版
首都圏近郊のとある市役所に新設される特殊事案対策課(通称・ことなかれ課)。その「ことなかれ課」に所属するメンバーたちが向きあう、不気味な心霊事件が描かれる。
ビルの壁に浮かぶ消えないシミ、交通事故が多発する坂、貯水池から引き上げられた変死体といった案件に、霊の声を聞ける少女や霊を引き寄せる少女、霊の見える人妻など、どこか緊張感の抜けたメンバーが対応する。
読みやすい絵柄にもかかわらず、じわーっと後味が悪い、絶妙な怖さが印象に残る。『りんたとさじ』と世界観を共有し、リン太もサジも登場。それにしてもこの巻のラストは衝撃。はやく第2巻を!
オススメボイス!
■謎や真相が明かされても解決するとはかぎらず、むしろダメ押しとばかりにさらなる怪異が描かれる都市型ホラー。正気と狂気、道理と不条理がそれまで見ていた情景とともにぐるりと転回する瞬間の穏やかならぬ読み味は、読み手に対しても「ことなかれ」とすることを許さない。ゾワゾワします(糸田屯/ライター)
第6位(42ポイント)
『イワとニキの新婚旅行』 白井弓子
『イワとニキの新婚旅行』
白井弓子 秋田書店
アマト国のある星を500年にわたって支配してきた「帝国」は、支配地域の神話を活かした統治を誇っていた。アマト国第二皇子・ニキは、第一皇子が死去したため帝国のイワナガヒメとコノハナサクヤヒメとの婚礼の儀に赴く。
日本神話では、その醜さのために父親のもとにイワナガヒメだけが送り返されることになったが、その結果として天孫の寿命は短くなったとされる。これを回避するために、帝国とアマト王国の婚礼ではイワナガヒメとコノハナサクヤヒメは必ず2人同時に娶(めと)らなければならない。しかし、ニキの兄が仮想人格として生きていたことが発覚し、ニキを殺そうとするイワナガヒメだったが、新婚旅行のあいだに2人の気持ちは近づいて――。
『天顕祭』『WOMBS』の白井弓子が初の「少女マンガ」として描いた短編集。表題作のほか、ギリシャ神話や桃源郷伝説など世界の神話をベースにした作品を収録。
オススメボイス!
■神話とSF、少女マンガを融合させた短編集。意識して取りこんだであろう古きよき少女マンガの懐かしさとともに、『WOBMS』で日本SF大賞を受賞した作者ならではの構想が光る(卯月鮎/書評家・ゲームコラムニスト)
■世界各国の神話をモチーフにしたSFオムニバス。日本神話の醜いイワナガヒメは巨大なゾンビ兵に、芸術の神・アポロンは人工知能に……。遠い神話を「今・未来」の物語に変換する力量に圧倒されます(梅本ゆうこ/ブログ「マンガ食堂」管理人)