第4位(98ポイント)
『ダンジョン飯』 九井諒子
『ダンジョン飯』
九井諒子 KADOKAWA
ドラゴンに食われた妹を助けるために、迷宮に潜りモンスターを料理して喰う! そんなインパクトのある設定で注目を浴びたダンジョン飯だが、前作第4巻ではついにドラゴンを倒し、ファリンの救出に成功。しかし、物語はまだまだ終わらない。
最新第5巻では、迷宮を支配する狂乱の魔術師によって、助けたばかりのファリンが連れ去られてしまう。満身創痍で充分な物資もないライオスたちは一度地上に戻る方針を固めるが、潜るのがたいへんだったダンジョンからそう簡単に抜け出せるはずもなく……。
また、これまで死んでばかりだったカブルー一行も再登場し、物語に大きな広がりを見せ始める『ダンジョン飯』。前巻ではこれで一件落着かとも思われたが、もしかするとここからが本番なのかも!
オススメボイス!
■他パーティの冒険者たちに光があたり、物語が一気に広がりだした。ダンジョンの謎もさらに深まった(卯月鮎/書評家・ゲームコラムニスト)
■爽やか系冒険者・カブルーの裏の顔など、ダンジョン内に思惑が渦巻く……。飯調達の、のん気さは薄まるものの、伏線がたくさん張られ、目が離せない展開に。薄幸なファリンに早く魔物飯ざんまいをさせてあげたい……(和智永 妙/ライターたまに編集)
■表紙のファリンがまずいい。茫洋とした、しかし変に色気のある。みとれてしまった。狂乱の魔術師にヤラれて、壁に押しつぶされそうになり、死を意識するシーンが印象的だった。「こんな終わり方…」っていう無念を、共感まではしないけど、ひしひしと感じた(紙屋高雪/ブログ「紙屋研究所」管理人)
■物語がいったん終わりに向かったのかと思いきや、まだまだおもしろさを維持しているどころかむしろおもしろさが加速している。一度大きくブレイクしたことで、そのぶんだけ離れてしまった人も多いかもしれないが、変わらずにおもしろいマンガなのでまだまだ読まれてほしい(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)
第5位(88ポイント)
『プレイボール2』 コージィ城倉(著)ちばあきお(案)
『プレイボール2』
コージィ城倉(著)ちばあきお(案) 集英社
中学野球で墨谷二中のキャプテンとして日本一になった少年・谷口タカオの高校野球での活躍を描いた『プレイボール』。作者のちばあきお氏の体調不良で連載は休止となり、再開されないままあきお氏は世を去ってしまう。
そんな未完の傑作である『プレイボール』の続編が38年振りに登場! ペンを執ったのは、これまで『おれはキャプテン』『砂漠の野球部』などの野球マンガを描き、別名義で『グラゼニ』の原作者も務めるコージィ城倉だ。ただキャラクターを借りて話の続きを描くだけではなく、あえて当時のちばあきおのタッチを再現するという徹底ぶりに本作への意気込みが伝わってくる。
近頃はあまり見られない努力という言葉では追いつかないぐらいの猛特訓に、テレビに映るピンク・レディー。
連載当時の空気や雰囲気を再現し、今、時代を超えた谷口の高校最後の夏が始まる。
オススメボイス!
■かつての名作『プレイボール』のまさかの続編。連載が発表された時は驚きましたけど、作品を見てなおビックリしました。なんと、自分の絵柄を封印して故・ちば先生の絵柄を再現してくれるとは! 元アシスタントでもここまではできないのでは!? そんな作品がコミックスになり、装丁まで当時を再現するというこだわりぶり。再現できてないのは値段くらいでしょうか?(笑) 昔からのファンなら必読なのは当然として、知らない人にもぜひ手にとってほしいですね(旧ジャンプコミックス再販希望!)(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■野球マンガ界の“大名跡”を継ぐ、という覚悟とプレッシャー。成功しても御の字、失敗したら非難轟々の条件下で、しっかりと結果を出す、コージィ城倉先生の情熱と技術に感服です(ツクイヨシヒサ/マンガ評論家)
■本当に対谷原戦の直後のような「ちばあきお的雰囲気」で再開され、それを「ピッチャーの人事」という「コージィ的な色彩」で展開するという見事な演出。いやー、谷口の親の様子とか、そのまんま70年代のちばあきおなんだよね。そのくせ、イガラシと井口の競争は、勝利という目標のためにリソースをどう配分するかを分析するという、いかにもコージィ的(紙屋高雪/ブログ「紙屋研究所」管理人)
第6位(82ポイント)
『五佰年BOX』 宮尾行巳
『五佰年BOX』
宮尾行巳 講談社
幼なじみの家の蔵の掃除を手伝っていた遠野叶多は、偶然奇妙な箱を見つける。箱のなかには中世の日本のようなミニチュアの世界が広がっており、そこでは小さな人々が実際に動いて暮らしていたのだ。箱のなかで野盗に襲われそうになった少女の姿を目撃した叶多は、その野盗を殺してしまうのだが、その直後、幼なじみの存在がこの世から消えてしまう……!
調べるうちに、箱の中身は約五百年前の日本とつながっており、箱のなかの出来事に干渉すると現実に影響が起きると判明するが、肝心の幼なじみをもとに戻す方法はわからない。
そして現実が変化するにつれて、徐々に書き換えられていく叶多の記憶。はたして叶多は幼なじみと再会することができるのか。丁寧な筆致で現在と中世の日本をリアルに描く、新感覚のSF作品だ。
オススメボイス!
■デビュー作品でこの構成内容はすばらしすぎです!! 「もっと早くに出会いたかった!」と思うような作品です。(旭屋書店なんばCITY店 平田/旭屋書店なんばCITY店 コミック担当)
■箱のなかに500年前のミニチュア世界があり、それをいじると歴史が変わってしまう。それに手を出してしまったことで最愛の幼なじみの女性が世界から消失! 衝撃的な第1話以降、コミックスが出るのをずっと楽しみにしてました。 どこか藤子・F・不二雄のSF短編などに通じるものもありますし、そういう作品が好きな人には特にお勧めです(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■タイムパラドックスSF。まぁサイエンス要素はないが。 道具立てがユニーク。チャレンジングな一作。 死んだわけではなく消えた、というか、もとからいないことになっていた、 というタイムパラドックス系の話である。普通はタイムスリップを絡めて展開するところを、その役目を「箱」に負わせたところがユニーク。 主人公は、神的な存在となる。ただし、ふるまった結果が 何をもたらすのかは、神的な主人公にもわからない。主人公がポジティブに動いていく話ではなく、 数々のジレンマを抱える内容なので、これをどう片付けていくつもりなのか、 注目したい(happysad/「マンガ一巻読破」管理人)
■箱のなかにジオラマのように過去の世界が存在するというアイデアがおもしろい。普通タイム・パラドックスものというのは過去に対して人間として干渉するのだが、この作品では過去に対して箱の外から神のような存在として干渉していく。今までなかった新しい視点である。主人公による箱のなかの世界への干渉がどう影響していくか? これからの展開が楽しみな作品(ゴロー/AV男優)