日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『鬼滅の刃』
『鬼滅の刃』 第2巻
吾峠呼世晴 集英社 ¥400+税
(2016年8月4日発売)
人喰い鬼を滅ぼす者たちの話……なのだがこの作品の「鬼」はかなりの変わり種。
傷口に鬼の血を浴びると、その人間は正気を失って、人を襲うようになる。一度鬼になったら、ただひたすらに人を襲うため、倒すしかない。
ただし太陽の光を当てるか、特別な刀でないと倒せない。
ようするに自我を失ったゾンビなのだ。
大正時代、山のなかに住む炭次郎(たんじろう)の一家は、人喰い鬼に襲われて惨殺された。
その中でひとりだけ、妹の禰豆子(ねずこ)だけが、意識がかろうじて残っている「鬼」の状態で生きのこった。
炭次郎は彼女を救うべく、背負って治療法を探しにいく。
鬼たちはそれぞれ特殊な能力を持っているため、修行を積んだ人間でもそうそう倒せない。
鼻がいい以外は一般人である炭次郎は、当然勝てるわけがない。命がけの無茶な修行を重ね、鬼を滅ぼす刀を手に入れ、2巻からは「鬼殺隊」に参加して動きはじめる。
異形の鬼たちは、手練でも苦戦するくらいに強力。
そこで、背負ったつづらに入っている鬼の禰豆子が飛びだし、炭次郎とコンビネーション攻撃を繰りだしていくのが、最高の見せ場。
怪力と不死の身体を手に入れてしまった禰豆子は、一撃で鬼の首を吹き飛ばすほどに強い。
暴走して人に噛みつかないよう、口に竹をくわえさせられた状態のためいっさいしゃべれない。
炭次郎の言葉に忠実に従う。着物で飛んだりはねたり、蹴り飛ばしたりする。
彼女のビジュアル、一度見たら忘れられないくらいに、残酷で妖艶だ。
出てくる敵のなかには、どういう能力を持っているか読めないものも増えてくる。
炭次郎は一撃でも喰らえば死んでしまう。しかし禰豆子は鬼のため死なない。とはいえ、炭次郎は禰豆子に無茶をさせて傷つけたくはないだろう。どう戦えばいいのか?
大正の町並みと闇に思いをはせながら、続きを楽しみにしたい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」