365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
9月20日は第1回カンヌ国際映画祭が開催された日。本日読むべきマンガは……。
『双葉文庫名作シリーズ オールド・ボーイ ルーズ戦記』第1巻
土屋ガロン(作) 嶺岸信明(画) 双葉社 ¥648+税
1946年9月20日、第1回カンヌ国際映画祭が開催された。それから半世紀以上たったのち、第57回カンヌ国際映画祭でグランプリ(審査員特別賞)を受賞したのが、映画『オールド・ボーイ』だ。
パク・チャヌク監督による韓国の映画だが、この報には多くの日本人も沸いた! これは日本のマンガを原作とした作品だったからである。
ちなみに2013年にはさらに、スパイク・リー監督(米)によってリメイク版が公開されている。
こうして世界的に名をはせることになった原作マンガを読んでみよう!
ストーリーは、主人公である中年男が、監禁されていた部屋から解放されるシーンから始まる。
彼はある日突然に拉致され、古いビルの一室に10年間も閉じこめられていたのだ。食事は与えられるものの、気を紛らわすものは1台のテレビだけ。そんな環境のなかで彼は解放される希望を失わず、テレビからできるかぎり現代の情報をキャッチし、体を鍛えながら暮らしていた。
10年という気の遠くなるような長い時間を経て、自由を得た男は考える。
殺すわけでもなく、自分を監禁した人物はだれなのか。
のちにあきらかになるが、彼を生かしながら閉じこめておくには協力者が必要で、それには莫大な費用がかかっていた。そうまでして、軟禁した理由とは!?
彼は、シャバに出たというのに過去の生活を取りもどそうとはしない。ただ、闇のなかを注意深く歩むように「謎」を追ってゆくストーリー運びそのものもミステリアスだ!
やがてたどりつく「監禁の理由」は衝撃的。
映画版と原作マンガではここが異なっているので、比べてみるのも一興か。緊迫感に満ちた、大人のハードボイルド・サスペンスだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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