『超人戦線』第1巻
青山広美(作) 山根和俊(画) 秋田書店 \562+税
（2014年7月18日発売）

『ギャンブルフィッシュ』や『バード』シリーズなどのコンビで知られる、原作：青山広美×作画：山根和俊が、ふたたびタッグを組んで挑む、異能力バトルマンガ。
このコンビによる作品の魅力といえば、やはりイカしたねーちゃんとイカれたおっさん！　まだ序盤ということもあってやや抑え気味ではあるが、それでもその持ち味は、本作でも遺憾なく発揮されている。

『超人戦線』で描かれる戦いは、「限定的な超能力を与えられた凡人」VS「何らかの理由で切羽詰まった殺しのプロ」という、変則的なもの。
それが（今のところは）南條範夫『駿河城御前試合』（『シグルイ』の原作としても知られる時代小説）の現代版といった風合いで、オムニバス的に展開される。

第1巻では、「軽い念動力を与えられた自称フリーター VS ガンで余命幾許もないスナイパー」と「物質通過を与えられた無実を訴える死刑囚 VS 犯人に妻子を殺された剣の達人」という、いきなりどうかしてるとしか思えないマッチメイクが堪能できる。
戦闘スキルの低さを「使い方次第」の超能力でいかにカバーするか、あるいは戦いの経験値で超能力をいかに破るか……。そんな駆け引き、そして容赦ないダメージ表現と疾走感は、さすがのひと言。

今後、この濃すぎるキャラクターたち（イカれたおっさん含む）が再登場するのか、今のところ謎だが、ひとまずは次の対戦を楽しみに待ちたい。
ちなみに「イカしたねーちゃん」成分は、「人生詰んだ」としか言えない彼らをゲームに導く「FEE」と呼ばれる謎の人物が担っております。

より過激に、イカしたねーちゃんとイカれたおっさんパワーが爆発するであろう、続刊に期待したい。

＜文・大黒秀一＞
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。