日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『アイドルマスター シンデレラガールズ WILD WIND GIRL』
『アイドルマスター シンデレラガールズ WILD WIND GIRL』 第1巻
バンダイナムコエンターテインメント(作) 迫ミサキ(画) 秋田書店 ¥600+税
(2016年9月1日発売)
「アイドルマスターシンデレラガールズ」には200人近くのキャラクターがいる。
個性が強すぎる面々のなかで、特攻隊長の向井拓海はひときわ目立つ存在。
プレイヤーの間で人気を博した。
ヤンキー風吹かせまくりの彼女が、アイドル界へブッこんでいく様子を描いたスピンオフが、この作品だ。
暴走族の特攻隊長として、神奈川から東京にカチコミに来ていた向井拓海。
豊満なバストに長い髪、りりしい顔で荒くれ者どもを率いていた。
ある日、アイドル事務所のプロデューサーが彼女を見つける。
最初はナンパだったが、たまたま穴が空いた番組のアイドルの代役として、彼女を引っ張り出す。
口八丁手八丁で働かされているなか、アイドルの子たちが生半可な覚悟でやっていないこと、自分が今まで見たこともないような熱気を浴び続けて走っていることに気づかされる。
自分は何をしたいのか迷っていた拓海は、アイドルの世界に飛びこむ決意を固める。
流れ自体は「アイドル成長もの」。
しかし拓海の行動すべてが根性論と仁義で動いているため、ヤンキーマンガのテイストがうまい具合に盛りこまれ、読みごたえのある作品に仕上がっている。
特にプロデューサーの設定がおもしろい。
金髪にサングラス、チャラチャラしたワイシャツにスーツのドチンピラ。素行も極めて悪い。
通りすがりの人たちも避けて通る。
生まじめヤンキー魂の拓海には激しく嫌われているが、同時に暴れ馬である彼女とやりあうには、このくらいじゃないと無理だろう。
そのほか、ニッカボッカにソリコミを入れたギャルの藤本里奈の登場など、今までのアイマスシリーズとうってかわった描写が多い。
そのぶん間口はものすごく広く、独立した物語なので、アイマスを知らない人でも読みやすい。
オススメ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」