『うぬぼれハーツクライ』第1巻
香魚子 集英社 ¥400+税
(2014年7月25日発売)
とある過去の出来事をきっかけに、自分磨きや恋愛テクニックに明け暮れ、誰もがうらやむ高スペックの彼氏を作ろうとする高校2年生・葉山ゆり。しかし、実際に彼氏ができた経験はナシ。
自分にふさわしい、という理由で目をつけた剣道部員・綾倉真に猛アタックをかける彼女だが、下心を見透かされ、冷たくあしらわれてしまう。
純粋な気持ちではなく、打算から恋愛を始めたゆりは、多くの少女マンガでは憎まれ役として登場しそうな女の子かもしれない。
だけど、それは不器用で臆病な性格の裏返し。そのうえマニュアル本をうのみにしたり、友だちと称しながらもゆりの恋をあおったり牽制したりする同級生・美優の術中にはまるなど、根は単純で残念という、愛すべきヒロイン像が見えてくるはず。
また、小細工が通じない硬派ながら、ちゃんと優しさも見せる綾倉くんの格好よさは理想の男子そのもの。どこか影のある彼の真意を知りたくなる。
さらに、綾倉くんをめぐって、ゆりのライバルとなりそうな大和撫子風の紺野葵にも、一癖ありそうな気配があり、女の子の思惑が激しく交差しそうな予感だ。
恋の行方ももちろん、ゆりが「内面」の磨き方をどのように得ていくのかも含め、期待が高まる。
<文・和智永 妙>
ライターたまに編集。『このマンガがすごい!』以外に、「マンガナビ」公認ナビゲーター、ほかアニメ記事など書いています。