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【日刊マンガガイド】『のんのんびより』第7巻 あっと

2014/08/07


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『のんのんびより』第7巻
あっと KADOKAWA/メディアファクトリー \524+税
(2014年7月23日発売)


ネットでは「にゃんぱすー」の挨拶でおなじみの作品。
小学1年生のれんげや、都会から引っ越してきた小学5年生の蛍をはじめとした、超田舎の小中学校に通う4人の少女たちの生活を描いた、のんびり物語だ。

興味深いのは、描かれている田舎は現存しない「理想の田舎像」の組み合わせだということ。田舎ならではの記号が北から南まで引っこ抜いて混ぜてあるため、日本のどこにあるか、特定できない。
この村単位の箱庭にいるのが4人の少女たち。部活もの4コマの「部活」と「田舎」をさしかえると、しっくりくるだろう。

最新7巻は、まさかの沖縄編。
だが、さくっと行って、さくっと帰ってくる。いつもの田舎と、南国の田舎を差し替えたかのようだ。
視点がマクロに広がっているはずなのに、この世界には「地元」「話題にしか出てこない東京」「沖縄」の3つしかないような錯覚におちいる。

世界の情報は、小中学校視点で描いているので、ほとんどシャットアウトされている。ケータイすら見たことない。
外界と4人+αの世界を切り分けることで、中途半端に都会的な部分が入らなくなり、田舎の楽しい部分を、強力に抽出しているのだ。

「サザエさん時空」化している田舎像は、楽しくもあるが、かなりいびつだ。
そこに年上のキャラクター(ほぼ女子)がどんどん増え、ツッコミを入れることで、読者がスッと引き戻され、ちょっと距離を置いて見られるバランスになっているのがうまい。
「この世界に入りたい」よりも「この世界を眺めていたい」という感想が、先に出てくる作品だ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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