日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『バトル少年カズヤ』
『バトル少年カズヤ』
中川ホメオパシー リイド社 ¥1,200+税
(2016年9月28日発売)
動画、文章、マンガなど、スタイル問わず、徹底的に無意味で非生産的なお馬鹿ネタにこだわったサイト「オモコロ」で、約4年半にわたって連載され、一部で熱狂的支持を巻き起こしていた『バトル少年カズヤ』。その全原稿に新たに書き下ろし&おまけ要素を盛り込んだ単行本がついに発売された。
ちょっとした武器にもなりそうな厚さ4センチ弱、豪華452ページがゴミとなるか宝となるかは、読む者の感性に委ねられている。
某ショッピングサイトの内容紹介には「地球のメンズに飽きて異星人と駆け落ちをするという奔放すぎる母親を探すため広大な宇宙へと飛び出したカズヤを待ち受けるハプニングの数々を毒っ気たっぷりに描いたスペースビクトリーサーガ」とあるが、そんなテーマやストーリーはまったくないも同然。
コロコロ系のまあるい少年マンガタッチの絵柄&語り口で、下ネタと不謹慎パロディをこれでもかと盛りこんだ作品世界は、まさにゲスの極み。
『空手バカ一代』に『やる気まんまん』、吉川晃司、山下達郎、ベッドイン……などなど、目くばせオマージュも満載。こういう不条理&ナンセンスなセンスを解せない筆者は、残念ながら笑えずボーゼンとするよりほかなかったが、ハマる人はめちゃくちゃハマるんだろうな~。
そんなオールorナッシングな絶対宇宙感も含めて、カルトとなりうる一冊だ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69