365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月7日は知恵の日。本日読むべきマンガは……。
『美少女戦士セーラームーン 完全版』 第8巻
武内直子 講談社 ¥1,500+税
本格的に寒くなってきたぞ。疲れと寒さが身にしみる駅から自宅までの帰り道、コンビニのコーヒーがちょっとした救いになる日々。
さぁそんな本日、11月7日は知恵の日である。
朝日新聞社が、『朝日現代用語 知恵蔵』を発刊したときに制定したそうな。
マンガ界には、「真実はいつもひとつ!」でおなじみのマンガとか、はたまた「ざわ…」の書き文字が印象的な賭博マンガとか、しびれる頭脳戦を見せてくれる名作がたくさんある。
しかし、ここであえて少女マンガ界の頭脳派ヒロインは誰か? を考えてみたい。んだけどなんか、少女マンガ界で頭脳派、しかもヒロインと呼べるキャラってそうそう思いつかなくないですか?
「ちょっとドジで食いしん坊。お勉強はダメだけど、好奇心旺盛でトンマなあたし☆」みたいな子が最強のヒロイン像というか、少女マンガ界における正統派ヒロインの定石。
たとえばテストで5点とかとって「うわ、お前マジかよ」とか気になる男子にちょっかいかけられて「もうっ、何よ! 放っといてよねっ。いーだ!」とかじゃれあうのがよくあるパターンじゃないですか? 古いか?
だけども、子ども時代に『美少女戦士セーラームーン』の大ヒットを経験した世代としては、ここで頼りになる逸材がひとり。
そう、「水でもかぶって反省しなさい!」でおなじみ、セーラーマーキュリーこと水野亜美ちゃんです!
今回は、『美少女戦士セーラームーン 完全版』第8巻に収録されているスピンオフ、「亜美ちゃんの初恋」をご紹介。
亜美ちゃんといえば、IQ300の超天才。趣味は読書にチェス、理想の人はアインシュタインという、非の打ちどころのない秀才っぷり。「秀才キャラ」として百点満点である。
「亜美ちゃんの初恋」は、高校受験を前にして、いつも以上に勉強に気合を入れる亜美ちゃんが、模試で自分と同じく満点トップをキープしている人がいると気づくところから始まる。
その人のペンネーム(模試を受ける時に使うもので、好きな名前を設定できる)は、「メルクリウス」。なんと、ラテン語で「マーキュリー」だ!
これは、運命を感じずにはいられない。すっかり、「メルクリウス」に心を奪われちゃう亜美ちゃん。
でもそこで、おしゃれや恋占いに目を向けたりせず、「私も負けていられないわ!」とばかり、いっそう勉強に熱中するのが亜美ちゃんらしくてご愛敬。
で、まぁこの話には「あらら…」なオチがつくのだが、それは読んでのお楽しみ。
恋が成就することはなかったが、亜美ちゃんの魅力をぞんぶんに堪能できるスピンオフだ。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。