365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月20日は世界子どもの日。本日読むべきマンガは……。
『こどものおもちゃ』 第1巻
小花美穂 集英社 ¥361+税
11月20日、今日は「世界子どもの日」だ。国連総会で、「子どもの権利条約」が採択されたことを祝して制定されたそうな。
「子ども」と名のつく日には、やっぱり読みたい『こどものおもちゃ』。
『こどものおもちゃ』は、大人になったからこそ読み返したい少女マンガ第1位!
だって内容がヘビーなのだ。子どもの頃読むのと、大人になってから読むのとでは、大きく印象が変わるはず。
主人公のチャイドル・紗南と、ひねくれ者の問題児・羽山は、ともに複雑な生い立ちを背負う。
生まれてきたことを祝福してもらえなかった。大切な人に受けいれてもらえなかった。恋をすることで、また別のだれかを傷つけてしまった。そういう苦しみが、惜しげもなく描かれている。
生々しいストーリーは、「恋をして楽しい!」のその先の世界に何があるのか、目を開かせてくれた。
いつしか2人は惹かれあうが、2人の恋は、キラキラしているだけじゃない。
お互いに、相手がいなければ自分が保てなくなるほどに、苦しい恋をしている。
『こどちゃ』から、「人生はいいことばかりじゃない」と学んだ。だけど「憎たらしいあいつだって、いろんな事情を背負いながら生きている」ことも知った。
人は、それぞれの立場から、その人なりにものを考えて生きている。
自分を苦しめる人のことを、単に悪者と責めることができないのは苦しくて、悲しい。
だけど、その感情を乗り越える方法を、紗南と羽山は示した。
自分が苦しんだぶん、ほかのだれかの助けになりたい。
物語のラスト、2人はその意思を行動に移してみせる。
まだ中学生のキャラクターたちの強い生き方に、心惹かれずにはいられないのである。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。