日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『三十路おとめとモテはたち』

『三十路おとめとモテはたち』 第3巻
甘詰留太 少年画報社 ￥540+税
（2016年12月10日発売）

青年向けコミックスで描けるセックスシーンの限界に挑む本作は、『ナナとカオル』の甘詰留太が描く、入り組んだラブコメディ。

主人公は、大学一番の美女で童貞ばかりとセックスする夏姫と、その唯一の肉親で姉の冬子、そして夏姫に憧れて大学に入学してきた童貞の平田の3人。
自分が「ビッチ」なせいで冬子に嫌われていると思いこんでいる夏姫が、冬子にもセックスや人肌と触れあうよさを知ってもらうために平田をけしかける。
冬子と平田がようやく相思相愛になってきた感じなのに、今度は夏姫が平田に本気になりそう……という、ウブで過激な三角関係が展開されてきた。

第3巻となる今回の最新巻では、平田が夏姫を監禁強姦被害から救い出したのをきっかけに、平田と夏姫の距離が急接近。平田と冬子が一泊旅行でとうとう2人とも脱バージンかという矢先に、なんと平田の童貞を狙って夏姫が猛攻を始める。
「お姉ちゃんには気持ちいいセックスをして欲しいから」って理屈は通ってるけどさあ……。
バレたら冬子さんメッチャ傷つくんじゃないかなあ……。

甘詰留太と「三十路」といえば、『恋は三十路をすぎてから』を思い出す。
『三十路おとめ～』の冬子・夏姫の姉妹は、『恋は～』の主人公だった上原さくらを「仕事のできる30代女性」と「豊満な肉体」のキャラに分割したような2人。
2人と上原さくらに共通するのは、3人とも性欲が強いということ。
甘詰作品で描かれるサカり顔の女性はすばらしい。

『恋は～』で上原さくらの相手役の年下男の山田（上原30歳に対し、山田23歳。ちなみに冬子も30歳だが、平田はさらに若く19歳に設定されている）は、だれが見ても明らかなイケメンだったのに対して、平田は身長こそ高いものの比較的よくいる非モテだ。
その平田が、同じく非モテではあるものの美人な冬子や、大学のマドンナで男をとりこにする夏姫とイチャイチャしているのを読むのはうらやましい。
うらやましいようでいて、夏姫にはいつも生殺しにされるし、冬子は素直じゃないし（素直になるとすごいかわいいんだが）、19歳の童貞にこれはキツい。

まだ平田が姉妹のどちらを選ぶのかはわからない。もしかしたら3人ともバラバラになってしまうのかもしれない。
3人とも幸せになってもらいたいところ。

＜文・永田希＞
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい！2014』のアンケートにも回答しています。
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