日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ヴァルガビンゴ』
『ヴァルガビンゴ』 第1巻
亜画々屋ぺらも 講談社 ¥620+税
(2016年12月7日発売)
「マインクラフトは後まわしにしとけ! すっげぇー面白いマンガが始まるんだからよ」
いきなりメタなセリフが飛び出すなかで幕を開ける本作『ヴァルガビンゴ』の主人公は、ヒーローに憧れる少年・織井蓮悟(おりい・れんご)。
ヒーローの実在する世界で生きる蓮悟は、突然飛ばされた謎の空間「ロッカールーム」で変身能力を与えられたことから、ヒーローへの変身能力を得る。
だが、小学生がひょんなことからヒーローになったところで、うまくいくはずもない。ヒーローとしての蓮悟の初陣は、いつものごっこ遊びの要領で戦った結果、チンピラの頭をふっ飛ばしてしまうというさんざんな結果に終わってしまい……。
冒頭から、とっても意地悪なアプローチでヒーローの実在する世界を描くのが、本作『ヴァルガビンゴ』だ。
憧れのヒーロー・メガリスの引退により、この第1巻で早くも日本を背負って立つヒーローになる主人公・蓮悟だが、彼に与えられる最初の試練はあまりにもハードだ。
市民の罵倒や、蓮悟を張りあいのある敵に成長させるために、悪意をぶつけまくるヴィランたちといった、ヘビーな障害の数々。そんな立ちはだかる壁に、蓮悟は小学生ならではの純粋さで立ち向かっていく。
だが、純粋なのはいいものの、第1巻の時点では戦いで毎回凄惨なまきぞえを出しており、小学生ゆえの正義感と無自覚な残酷さの危うい均衡が炸裂するバトル模様は、毎回思わずハラハラさせられてしまう。
犯罪者を集めた特区をヴィランに管理させるなど、ヒーローとヴィランの存在がディストピア化を進行させている日本を舞台に、蓮悟はヒーローとしていかに生きてゆくのか?
とりあえず、グレないですこやかに成長してくれることを願いたい……。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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