日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『繰繰れ!コックリさん』
『繰繰れ!コックリさん』 第12巻
遠藤ミドリ スクウェア・エニックス ¥571+税
(2017年1月21日発売)
自身のことを人形と称する電波系の少女・こひなと、狐の動物霊・コックリさんとの日常系コメディも、ついにラストを迎えた。
とはいえ、最終話まではこれまでどおりのギャグ全開テンション。
コックリさんたちがキャバ嬢になったり、狗神のプロストーカー流儀が語られたり、信楽が筋肉隆々のミュータントになったり……。あいかわらずのやりたい放題である。
しかし、それが最終話ではそれが一変する。
発端は、こひなが抱いた「どうして(このマンガは)季節が巡らないのか」という疑問。
日常系につきものの「サザエさん形式」と思いきや、じつはそれにも深い意味があったのだ。
そしてコックリさんの口から語られる、こひなと彼との因縁。
コックリさんがこひなのもとへやってきたのにも理由があった。
それを知ったとき、なんでもありのギャグマンガだった本作の見方は180度変わるだろう。
さらに、タイトルに含まれている「繰繰れ」の意味。
そこにこめられた意味を理解した時、思わず鳥肌が立ち、ギャグマンガにもかかわらず号泣してしまった……。
これまでコメディ色が強く描かれてきたぶん、そのギャップにやられてしまう読者は多いことだろう。
あまりギャグマンガは好きではない、そんな人にこそ本作は読んでもらいたい。
最後のページをめくるとき、これまでのギャグマンガの概念が、大きくくつがえされるはずだから。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。