365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月20日は愛媛県政発足記念日。本日読むべきマンガは……。
『マネーフットボール』 第1巻
能田達規 芳文社 ¥590+税
きょう2月20日は、愛媛県が誕生した日である。
もともと江戸時代には、伊予には8つもの藩が存在した。明治の廃藩置県後、様々な統廃合をへて、1873(明治6)年2月20日に石鐵県(いしづちけん)と神山県が合併し、現在の愛媛県が誕生した。
愛媛県を舞台にした作品といえば、同県出身の能田達規による『マネーフットボール』だ。作中には松山城など愛媛県の名所なども登場する。
主人公の梶本洋平は、高校卒業後にNリーグ1部の浦和レッドスターに入団したディフェンダー(右サイドバック)。2部リーグの愛媛イーカッスルにレンタル移籍し、イーカッスルの1部昇格や浦和へのレンタルバックを目指す。
タイトルが示すとおり、「サッカークラブと金の関係」にスポットをあてた作品であり、運営資金の乏しい地方クラブの実状や、契約に関する問題を扱った。
野球の場合、『グラゼニ』(原作:森高夕次、作画:アダチケイジ)や映画『マネーボール』(監督ベネット・ミラー)のように、「プロ野球と金」の問題を扱った作品は過去にあるが、サッカーの場合は前例がほとんどない。
ロングスローの価値を「1投13万円」と換算して、自分の武器であるロングスローの技術を磨くシーンなどは、サッカーマンガとしてはかなり斬新である。
また、イーカッスルの新監督に就任した大月監督は、サッカーをデータ的に分析するタイプとして描かれているのもサッカーマンガとしては新機軸。
昨今、Jリーグでは、試合中の各選手の走行距離やスプリント回数(時速24キロ以上のダッシュ)、ドリブル距離やパス成功率などのデータを公表するようになった。しかし、むきだしの状態でデータだけ公開されても、それをどう見るべきかは、まだまだファンには浸透していない。各種データが何を意味するのか、本作はその理解の一助にもなるだろう。
2017年のJ1リーグは来週2月25日から、J2リーグは2月26日から開幕する。その前に本作でデータの見方をおさらいしつつ、開幕に向けて気分を高めておきたいところだ。
ちなみに、本作『マネーフットボール』の著者・能田達規は、J2に在籍する実在のサッカークラブ・愛媛FCのマスコットキャラクター「オ~レくん」、「たま媛ちゃん」、「伊予柑太」を手がけた。
ホームゲームでは、前述の3キャラクターが、愛媛朝日テレビの広報大使「一平くん」とコントのようなかけあいを披露するのも、スタジアムでの楽しみのひとつ。
『マネーフットボール』を読んで愛媛に興味を持った方は、今シーズンはぜひとも愛媛FCのホーム・ニンジニアスタジアムに足を運んでみよう。
スタジアム前の噴水前広場には試合当日、様々なスタジアム・グルメの出店があり、お祭り気分を盛り上げてくれる。カワハギの唐揚げとか鶏皮チップスが超オススメ!
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama