日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『中2の男子と第6感』

『中2の男子と第6感』 第4巻
福満しげゆき 講談社 ￥580+税
（2017年2月6日発売）

少年「中2」は、不登校のいじめられっこ。
あまりのつらさに、最初は「もっと強いもうひとりの自分」をイメージして実感しようとシミュレーションしていた。だが、自分の姿でイメージすると、頭の中が混乱してしまう。
そこで、なんとなく思い浮かべた女子を想像のなかで具体化。
いつしか会話できるまでになった。
彼女は強くなるための様々なアドバイスをしてくれるので、中2は「師匠」と呼ぶようになる。

イマジナリーフレンドとの交流で、対人問題を解決し成長していくジュブナイルコメディ。
「師匠」は、彼と同様にコミュニケーションが苦手な「妹さん」がつくった「もうひとりの強気な自分」が、中2にとり憑いたもの。
同様に中2が最初につくった「もっと強いもうひとりの自分」は、妹さんの「メガネ女子友だち」にとり憑く。
さながらスタンドバトルの様相。

中2は師匠に尻をたたかれて格闘技を学び、妹さんとはつきあうようになったことで、自信を回復していく。
目標は「いじめっこを倒すこと」。師匠のスパルタと、妹さんのおっぱいへの激しいリビドーのおかげで、学校に復帰し、立ち向かえるようになった。

最終第4巻では、彼の格段に成長する。
「中2マスク」となってスパイダーマンのように駆け回り、変質者カナヅチ男を撃退。
自分をいじめていた少年を助けるまでに。

第1巻では妄想と現実がごっちゃになった世界で、彼はボクシングを練習し、カンフー映画の特訓器具をつくり、隠し武器を作成していた。
いわば「厨二病」と呼ばれるたぐいのもの。
彼が真剣に積み重ねてきたこれらがきちんと役に立ち、最後まで肯定されていく様子は本当にすがすがしい。

大人になり、妹さんと結婚し、会社に勤めるようになった。 子どもが産まれた。
それでもまだ師匠は、彼とともにいる。
中学生時代にたかぶり抱えこんだバイタリティは、一生ものだ。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」