時間があったら 同人誌の原稿を描きたい!
――漫画家として、影響、感銘を受けたと思う漫画家さん、あるいは作品を教えてください。
木尾 先ほど述べた、子どもの頃から読んできた作品群がほぼそのままです。加えるなら、ガンダム作品、池波正太郎の小説作品、といったところかな。
――まさに今、注目しているマンガ、愛読しているマンガは?
木尾 毎月何冊も買ってるからよくわかんないですけど……うーん……「新刊出るぜ、ひゃっほう!」ってなるのは……『喧嘩稼業』と『とめはねっ!』[注8]かな。
――お忙しいなかでもマンガはかなり読まれてるんですね。今後はどんな作品を描いていきたいですか?
木尾 前からあたためてたネタほど成功しないんじゃないか、と思う今日この頃です。
――たとえば文学や映画、音楽などからインスパイアされることはあるのでしょか。
木尾 特にないです。一時期はいろんなものを読もう、見よう、聞こうと努力してましたが、最近はそういう“意識高い系”な行動はまったくしなくなりました。小説で読むのはアニメ原作とか……映画もアニメ中心ですね。音楽は基本仕事中のBGM程度なのでJポップ、クラシック、アニメサントラあたりを適当につまみぐい。
――かなりアニメにくわしいとお見受けしますが、今、もっとも気になるアニメは?
木尾 圧倒的に『SHIROBAKO』です。第12話で杉江さんの原画を手伝う、とみんなが「俺も俺も!」な状態ななかで言い出せない絵麻。でも杉江さんが絵麻を見て、「ありがとう。助かるよ。みんなでやろう」と言って絵麻がパッと明るい顔で「はい!」と言うシーン。これだけでブルーレイディスク全巻買えます。見終わって「おもしろかった!」ではなくて、見ながら「おもしれえーおもしれえー」という感じ。ニヤニヤ、同時にワクワクしながら見てます。
――時間があったらやりたいことはなんですか?
木尾 以前、男女逆転した『スター○ォーズ』のネーム本同人誌を出したので、その続きを描きたいです。エピソードⅠ、350ページのネーム本です。
――それはかなりのボリュームですね!!
木尾 その後のすべてのエピソードを描きあげたいんです。ネタはあります……というか映画があるので当然ストーリーはもうあるわけですけど。できれば新章公開の前にと思ってましたが、どうやらムリそうです。
――プライベートでもそれだけ描きたいものがあるというのはすごいですよね。漫画家になってよかったと感じるのはどんな時でしょう。
木尾 以前は、雪の日に外出しなくていい時でしたが、家庭の事情により仕事場を別にしたので、それはなくなってしまいました。
――今、関心を持っていることはなんですか?
木尾 40になってコミュ障が進行してる自分です(笑)。
――そんな木尾先生は『Spotted Flower』が「このマンガがすごい!2015」オンナ編13位にランクインしたことについてどうお感じになったか気になります!
木尾 「精神的苦痛を受けた」と言って訴えたら勝てそうだな、と思いました。……というのは冗談ですが「なんで?」とは思ったです。こういうランキング的なものは、自分が入ってなければ精神衛生上スルーすべきだと思うし、今までそうしてきました。なのでよく知らなかったですけど、「オンナ編」というのは「女性が読んでる」「女性が支持している」という意味かと思ってました。
――では、最後に……読者の方へのメッセージをお願いします。
木尾 どうぞ好きなように読んでください。
――ありがとうございました!
- 注8『とめはねっ!』 正式タイトルは『とめはねっ! 鈴里高校書道部』。河合克敏による書道を題材としたマンガ。2007年から2015年にかけ「週刊ヤングサンデー」(小学館)「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載(休刊に伴い移籍)。2010年にはNHKでドラマ化もされた。
取材・構成:粟生こずえ