「待って……」
「あなたが埼玉県民でもいい! あなたについて行きたい!」
「所沢へ?」「(ビクッ!!)」
発表から30年以上が経った現在、ネットを中心に「このマンガがすごい……というかひどい……!」「こんなマンガがあったなんて……!」と話題となり、ついに12月24日、単行本が発売となった伝説の埼玉dis作品『翔んで埼玉』。
主人公・麗たちの禁断の逃避行を描いた本作は、第3話をもって終了。今回は、その理由について作者の魔夜先生に直撃した!
そして、埼玉の次なる舞台についても明かされる……!?
執筆当時の思い出を語っていただいたインタビュー第1回はコチラから!
『翔んで埼玉』
魔夜峰央 宝島社 ¥700+税
(2015年12月24日発売)
漫画家人生で「自粛」した禁断のモチーフとは?
――『翔んで埼玉』って、本筋となるストーリーの流れは、かなり社会的にディープですよね。主人公の麗が埼玉生まれの素性を隠して、埼玉県民差別問題に立ち向かうという。創作とはいえ、編集さんからストップがかかったりはしませんでしたか。
魔夜 なかったと思いますよ。『パタリロ!』ではけっこうありましたけど。
――それは過激な男色描写で?
魔夜 そうです。夜中に編集さんから電話がかかってきて、「こんなシーン載せられるか、発禁になったらどうするんだ!」と怒られたりしました。肝心なところを、薔薇で隠したりしてね。
――(笑)
魔夜 そういえば変わったところでは……「自粛」して描かなくなった背景モチーフがあります。
――え? どんないやらしいモチーフですか?
魔夜 そうじゃなくて……昔よく描いていた、菊みたいな模様があるんですよ。
――あ、まさに『翔んで埼玉』の1ページ目にありますね。
魔夜 「菊のご紋に似ているかも」と気づいてしまったので、ある時に自分から宮内庁に問い合わせたんですよ。
――先生ご自身で!
魔夜 そう。本を送って、「こういうマンガを描いてるのですが、これ大丈夫でしょうか」と問い合わせを。そうしたら「できれば使わないでいただきたい」……と。返事はマイルドでしたが、威圧感はありましたね(笑)。
――『翔んで埼玉』には、ふんだんに出てきますよね。そういう意味でもレアかも(笑)。