初恋のドキドキ感がどの場面からもほとばしる
――『日々蝶々』は、当初読み切りの短編作品だったそうですね。
マキロ はい。設定は同じなんですが、読み切りでは主人公が川澄だったんです。高嶺の花のすいれんが先輩から絡まれてるところを助けて、それ以来、川澄がすいれんを送って帰るようになるという。
――読み切りのときもタイトルは同じ?
マキロ そうです。そもそもこのお話は『日々蝶々』というタイトルを決めてからイメージをふくらませて作ったものなんです。
――なるほど! 随所にタイトルにこめた意味を感じさせるシーンがありますよね。
マキロ 連載になると決まってうれしくて……とにかく一話一話大切に描こうと思いました。
――すいれんにしても川澄くんにしても、なかなか恋をしていることに気づかないですよね。気になり始めてから好きだと意識するまでのグラデーションをじっくりと描いていて、初恋を追体験しているような気持ちになります。
マキロ 話の流れは、主人公の性格ありきでできたものです。エピソードを意図的に考えて作る場所もありますが、大きな流れはほとんどキャラ主体でできています。初めて恋をして目が合うだけでドキドキする感じが伝わればうれしいです。
――すいれんはほとんどしゃべりませんが、ここぞというときの意思表示がはっきりしていますよね。
マキロ おとなしくて、マイペースな性格ですね。
――しゃべるのは苦手でも、自分をしっかり持っている女の子という印象です。
マキロ 恋にはすごくまっすぐです! 恋をして、少しずつ人間らしくなっていっているかな(笑)。
――だんだん口数が多くなってきましたよね。でも、無言のYES・NO表現……「コクリ」「フリフリ」もめちゃくちゃかわいいです!
マキロ ありがとうございます。すいれんは無口という設定だったので意思表示をどうしようかと。2、3歳くらいの子が拗ねたときに首を振るしぐさをするのがかわいいなと思っていたので、それを取り入れたんです。
なちやん 基本、あまり表情が変わらないですが……そのなかにも微妙な感情の変化があるので、眉の角度や、瞳には特に気をつかって描いています。
――そこはすごく伝わってきます。勇気を出して、ついに一言しゃべる瞬間など、すいれんの表情からは常に目が離せないです。
次回、ますます広がる『日々蝶々』の魅力を直撃! 後編は8月18日更新予定
取材・構成:粟生こずえ