恋に悩む主人公や、読んで思わず恋をしてしまうような男性キャラクターなど、物語を彩るキャラクターも少女マンガの魅力のひとつ。インタビュー後編では、主人公・すいれんの恋のお相手である川澄をはじめ『日々蝶々』のキャラクターについて、森下先生に語っていただいた。
川澄くんの恋愛感覚は小学生男子レベル!?
――川澄くんは恋心を自覚してから、どんどんカッコよくなっていきますよね。
マキロ 恋愛には疎いのでとまどうことは多いですが、もともと性格はすごく男の子っぽい男の子です。すいれんのことが気になったのは、無口な子が自分にだけしゃべりかけてくる、というのがわかったからですね。小春みたいにさばけた肉食系女子は苦手です。
――4巻で「俺も柴石さんが好きです」の告白があり、さらに5巻ではみんなの前で「俺とつきあってください」の宣言があり……男気あふれるキメどころは何度読んでもキュンとします。
マキロ 連載がここまで長く続くとは思っていなかったので、当初は考えていなかったシーンです。すいれんに対しても男らしくいたいと思っている、川澄の性格に導かれたシーンだと思います。
――想いを確かめあった2人が「じゃあ、つきあうって何だろう?」と考えながら歩くシーンも、キャラありきという感じですね。
マキロ ひとつひとつを解決していかないといけない初心者同士の恋愛なので、こうなりました。
――川澄くんの気持ち、恋愛についての意識がりょーっちとの会話などを通して描かれるのも微笑ましいです。
マキロ 男子同士らしい会話をさせるように意識はしています。私もなちやんも女なので完全には再現できないと思うんですが……川澄は恋愛面の感覚は小学生くらいなので、男っぽさというより純粋さ、素朴さを演出している感じでしょうか。
――りょーっちも、川澄くんにいろいろたきつけたりするわりには純なタイプですよね?
マキロ 川澄と違うのは、女子とも気さくにしゃべれるところですね。男女ともに友だちが多い子。女子に怒ったりすることはなく、尽くすタイプですね。ちなみに家ではお母さんにこき使われています。弟にもこき使われています(笑)。
――りょーっちはあやちゃんといい雰囲気になるのかと思っていたんですが、りょーっちに新キャラの彼女ができましたね。
マキロ あやちゃんは大人っぽくてしっかりはしてますが、恋愛面では鈍感なんですよね。
――あれ? あやちゃんは男の子とつき合ったことなかったんでしたっけ?
マキロ ないです。ちょっと冷めてる性格なので簡単に恋に落ちそうもないですね。あと、じつは意外にイケメン好きです。
――あやちゃんがしっかり者の長女、すいれんがおっとり次女、ゆりちゃんがかわいい三女……三姉妹みたいに思えたりします。めっちゃ仲よしで。
マキロ ゆりちゃんもすいれんの恋を応援する立場だと威勢がいいのですが、自分の恋に対しては消極的……女の子っぽい女の子ですね。ポエムを書くのが趣味です。
――すいれんは美少女だけど女子にも妬まれないキャラクター。唯一悪役っぽい小春ですが、ストレートで嫌みがないですよね。
マキロ とにかく性格が強いです! モテるけど、追われるより追うのが好きなんですよ。
――その強さのなかに、ときどきかわいさが垣間見えるギャップが魅力だと思います。ひっかき回し系のキャラといえば、6巻で登場した後平先輩! 川澄くんに強いライバル意識を持っているので、これから空手のエピソードも増えていくのでしょうか。
マキロ 少し増えます。あるときのネームで、担当さんに「これ少年マンガじゃん」と言われて直したりしましたが(笑)。
――空手の場面になるとかなり熱血ですよね! 川澄くんを空手少年にした理由は?
マキロ 個人的に、男らしいスポーツといえば空手かなと。空手男子、かっこいいです!